今回は東京医療学院大学看護学科 推薦入試の小論文対策として、入試過去問の解説と、解き方のポイントを紹介いたします。
また、問題の特徴についても紹介しておりますので、看護学部の入試で小論文がある方は必見の内容となっております。
目次
東京医療学院大学 看護学科
推薦入試 小論文対策
問題の概要
<出題形式>
課題文型
<出題内容>
◎課題文読解(2問)
・語句説明(150字以内)+「錯誤行為」についての論述(600字以内)
問題の特徴
東京医療学院大学は過去3年間の問題の傾向として「医療現場で求められるコミュニケーション能力・や医療倫理、社会情勢を踏まえた思考力」を試す問題が出題されます。
また、問題の形式も語句説明や要約などの「内容理解」とテーマに対しての論述問題の2問構成で例年行われます。
解き方のポイント(取り組むにあたって)
課題文型小論文を解くうえで必要な力
課題文型の小論文では、単に知識を問うのではなく、論理的な思考プロセスと記述能力が総合的に評価されます。求められる核となる力は以下の3点です。
読解力と要約力
長文から筆者の主張、定義、核となるテーマを正確に把握し、設問が求める内容に合わせて過不足なく抽出する力。
論理的分析力(問題設定力)
課題文で提示された定義(例:錯誤行為)を自己の経験や社会問題に適切に適用し、設問に対する論点(問い)を明確に設定する力。
具体化と論証力
抽象的な概念を自身の具体的な事例で裏付け、結論に至るまでの思考過程を客観的かつ論理的に説明する力。
課題文型小論文の解き方のポイント
【ステップ1】課題文の徹底的な分析
筆者の定義をマーキング: 「〜とは」「〜の原因は」など、課題文が提示する専門用語や核心的な定義に線を引く。解答の土台となるため、ここを誤ると論点がずれる。
設問との照合
設問が「課題文中のどの部分」に基づいて解答を求めているのかを確認する。特に「〜を踏まえて」という指示があれば、その概念(例:錯誤行為)を必ず具体例に適用する。
制限字数と構成の決定
設問の字数(例:600字)を確認し、「導入(定義)」「本論(具体例・分析)」「結論(対策・展望)」の文字数配分を大まかに決める。
【ステップ2】具体例と論点の明確化
具体例の二面性
経験談を提示する際、「意識的な意図(建前)」とそれを妨害した「無意識の意図(本音)」のように、課題文の定義に沿って対立構造を明確に示す。
「なぜ」の深掘り
「失敗した」で終わらず、「なぜその無意識の意図が抑圧されたのか」という背景(例:時間的・精神的余裕の欠如、人間関係の軋轢)を分析する。この分析が対策の質を決める。
【ステップ3】具体的かつ実現可能な対策の提言
分析に基づく対策
ステップ2で分析した「原因」を直接的に解消する対策を提案する。「頑張る」のような精神論ではなく、「具体的に何をするか」を述べる。
意識化と解消
対策は「無意識の意図を意識化する手段(例:日記、内省)」と「葛藤を健全に解消する手段(例:アサーティブネス、環境整備)」の二方向から提言すると論理的で説得力が増す。
結論の展望
最後に、提言した対策が自己理解の深化や目標達成にどのように寄与するかをまとめ、小論文全体を力強く締めくくる。
東京医療学院大学看護学科 推薦入試
過去問解説
ここでは、2025年度の推薦入試で実際に出題された問題の解説を行なっております。
問題に焦点を当てた解き方のポイントを紹介しておりますので、受験勉強の参考にしていただければ嬉しいです。
問題の概要と対策ポイント
課題文の核心と評価ポイント
この小論文は、フロイトの「錯誤行為」(無意識の願望の表れとしてのミス)の概念を理解した上で、自身の経験に適用し、その失敗を防ぐための具体的かつ論理的な対策を論じる力を問うています。
課題文の要点(錯誤行為の定義) 錯誤行為とは: うっかりの言い間違い、聞き間違いなどが、その人が気づいていない無意識の願望や意図が表れたもの。 原因: 意識的な意図(建前)と、それを妨害しようとする無意識の意図(本音)が衝突すること。
「本音で生きていない人」: 本音を押し込め、本音とは別の行動を選択する人。抑圧された本音が「反乱」を起こし、錯誤行為となって表れる。
設問1 解説
「本音で生きていない人」とはどのような人のことをいうと思いますか。(150字以内)
✅ 解答の指針:
衝突と抑圧の明記:課題文の定義に基づき、「意識的な行動」と「無意識の願望(本音)」の間の衝突と抑圧というキーワードを明確に含めて要約します。
🔑 核となるキーワード
無意識の願望/本音、抑圧/押し込める、本音とは別の行動、錯誤行為として表れる。
設問2 解説
「錯誤行為」をふまえ、あなたが今までに経験した「錯誤行為」について、具体例を示した上で、その失敗を防ぐための対策として何を行うべきだと思いますか。(600字以内)
✅ 解答の指針
構成(体験→分析→対策):無意識の意図の衝突をどう解消するかという視点で、具体的かつ実行可能な対策を論理的に提言することが求められます。
🔑 構成と文字数の目安 (600字) 導入
錯誤行為の定義を確認。(50字)
具体例: 「意識的な意図(建前)」と「妨害した無意識の意図(本音)」を明確に示す。(150字)
分析: なぜ衝突が起こり、本音が抑圧されたのかを掘り下げる。(100字)
対策 (本論): 無意識の意図を意識化し、葛藤を解消する具体的対策を2~3点提言。(250字)
結論: 対策が自己理解や目標達成に繋がることを示し締める。(50字)
💡 対策の方向性(無意識の解消) 意識化
日記やメモに「本当は〜したくない」という本音を正直に書き出し、抑圧している感情を自覚する(感情の可視化)。
健全な解消: 無意識のサイン(疲労、拒否感)を無視せず、意識的に休憩時間を組み込む、またはアサーティブ・コミュニケーションで本音を適切に伝える。
環境サポート: スケジュールに余裕を持たせ、精神的な負担を軽減し、無意識が「反乱」を起こす原因を減らす。
課題文型小論文の対策
ここからは東京医療学院大学のみではなく、他校の対策にもつながる「課題文型」小論文の対策方法を紹介いたします。
今後の対策に向けて、以下の3ステップを意識しながら取り組んでいきましょう!
課題文型小論文の3ステップ受験対策
【ステップ1】課題文の分析力と要約力の養成
課題文型小論文の土台は、筆者の主張を正確に理解し、設問に適用できる核となる概念を抽出する力です。
コア概念の特定
筆者の提唱する専門用語や定義(例:「錯誤行為」「認知バイアス」など)に線を引く訓練を重ね、その意味を簡潔にまとめられるようにする。
論理構造の把握
「主張→理由→具体例→結論」という課題文の論理展開をブロック分けして捉え、「筆者が最も伝えたいこと」を200字程度で要約する練習を行う。
背景知識の補強
志望学部の関連分野(医療、倫理、環境など)で頻出するテーマについて、基礎的な用語と議論の流れをインプットし、読解のスピードと精度を高める。
【ステップ2】設問への論理的接続と具体化の訓練
課題文の概念を、設問が求める自己の経験や社会問題に橋渡しし、説得力のある論拠を展開する力を鍛えます。
設問タイプの分類と対応
設問を「説明型」「意見表明型」「対策提示型」などに分類し、それぞれに必要な解答の型(構成)を体得する。
「具体例の二重構造」訓練
抽象的な課題文の概念(例:本音と建前の衝突)を、自身の具体的な行動と内面心理に当てはめて分析する練習を徹底する。この訓練が自己分析力に直結する。
「なぜ」の深掘り
具体例を提示した後、「なぜその問題が起きたのか?」「その根本原因は何か?」と最低3回は自問し、対策の根拠となる原因分析を深める。
【ステップ3】過去問演習と答案の客観的添削
インプットした知識と訓練した構成力を、時間制限のある実戦形式でアウトプットし、弱点を克服します。
時間配分の徹底
制限時間から「課題文読解・分析」「構成メモ作成」「執筆」の時間を逆算し、時間内に完成させる練習を最優先に行う。
採点基準の意識
志望校の過去問解説や大学のアドミッション・ポリシーを参照し、「論理の飛躍がないか」「課題文の定義を正しく使っているか」という客観的な採点基準を常に意識して答案を作成する。
自己添削と他者添削
答案完成後、時間を置いて自分で論理の矛盾や誤字脱字をチェックする。その後、学校や予備校の教師に添削を依頼し、採点者目線での評価を受け、改善点を明確化する。
さいごに
ここまで、記事をご覧いただきありがとうございました。
今回は東京医療学院大学の過去問解説を交えて、小論文対策の方法を紹介いたしました。
ただ、試験問題については年度ごとに変わっていくこともあるため、何がきてもいいように一通りいろんなパターンの小論文には触れておきましょう。
現在、弊校では小論文のパターン別の対策記事を出しております!
その他のパターンの対策を知りたいという方はぜひ、こちらもご覧ください!

