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東京純心大学看護学部 推薦入試 小論文対策
今回は東京純心大学 推薦入試の小論文対策として、入試過去問の解説と、解き方のポイントを紹介いたします。
また、問題の特徴についても紹介しておりますので、看護学部の入試で小論文がある方は必見の内容となっております。
問題の概要
＜出題形式＞
課題文型
＜出題内容＞
1回目：課題文を踏まえた論述（1000字以内）
2回目：課題文を踏まえた論述（1000字以内）
問題の特徴
同大学は例年、医療や福祉をもとにした倫理観や人間愛などをテーマに扱う傾向があります。出題の傾向については過去3年分の問題全てで「経験」という言葉が出てきており、受験生の経験から論述を展開させていきます。
そのため、受験対策をする際は今までの経験の棚卸しから始めるのが必須の問題形式になります。
解き方のポイント
この問題を解くうえで特に必要な力（3点）
自己の具体的な経験を語る力
「具体的な経験や例を示しながら」という設問の要求を満たすため、抽象的なテーマ（ケア、善意、注意深さなど）と直面した自身の体験を結びつけ、説得力を持たせる表現力が必要です。
看護に結びつく倫理的考察力
課題文で示された概念（例：節度ある関わり、ケアラー支援）を、看護師としての専門的な視点や、患者・家族に対する適切な援助のあり方という倫理的な視点から深く掘り下げて考える力です。
1000字を構成する論理力と体力
90分という時間内で、読解・構成・執筆の全てを完了し、1000字という長い文字数で破綻なく自身の意見を一貫して論じ切る構成力と文章の持久力が必要です。
課題文型小論文の解き方のポイント
筆者の問題提起と結論を特定する
文章全体を通じて、筆者が「何を問題視し（問題提起）」「最終的に何が重要だと主張しているか（結論）」を正確に把握します。特に結論部では、キーワードに線を引くなどして、論旨の核を見抜きましょう。
設問形式から論述のゴールを定める
「説明せよ」か「意見を述べよ」かを確認します。東京純心大のように「あなたの考え」を問う形式では、要約（100字程度）と自分の主張（900字程度）のバランスを事前に決め、自己の立ち位置を明確にします。
「具体例」を主張の説得力に直結させる
求められている具体的な経験や例は、単なるエピソードではなく、自分の意見を論理的に支えるための証拠です。体験談を客観的に分析し、主張と体験の間に論理的なつながりがあるかを確認しましょう。
長い論述のための構成（アウトライン）を徹底する
1000字の論述では、構成を練らずに書き始めると必ず途中で破綻します。「序論（筆者の主張への言及と自己の主張提示）→ 本論（根拠1と具体例、根拠2と具体例）→ 結論（看護との関連付け）」の構成を、必ず下書きで完成させてから執筆に入ります。
東京純心大学看護学部 推薦入試
小論文 過去問解説
ここでは、実際に東京純心大学看護学部の2025年度推薦入試で出題された問題の解説を基に、小論文対策を紹介していきます。受験勉強をされる際の参考になれば嬉しいです。
小論文（第一回）：大江健三郎 随筆
問題の概要
知的障害を持つ長男との歩行訓練中の出来事を通じて、積極的な善意を示す婦人と、距離を置いて見守る高校生の少女の振る舞いを対比させ、シモーヌ・ヴェイユの思想を引用しながら「注意深くかつ節度ある新しい人間らしさ」について論じた随筆が課題文です。著者の主張を踏まえ、自身の具体的な経験や例を示しながら1000字以内で論述することが求められています。
解き方のポイント
「積極的な善意」と「節度ある注意深さ」を対比する
親切な婦人（積極的だが受け手には負担）と少女（受動的だが状況を察している）の行動の違いを明確にし、看護・援助の場面でどちらの姿勢が重要かを論理的に判断する視点が必要です。
「不幸な人間」の定義を理解する
ヴェイユがいう「不幸な人間」は、単なる可哀想な人ではなく、苦痛によって自己を失いかけている状態を指します。この定義を理解し、相手の尊厳を守る関わり方について考察しましょう。
具体的な「援助の経験」を核として使う
自身の経験を、課題文のキーワード（例：プライバシーの尊重、見守りの力）と結びつけ、「あの時の自分の行動は、積極的な善意だったか、節度ある注意深さだったか」と深く分析することで説得力が増します。
文章構成（1000字目安）
【序論：150字】：筆者の主張（節度ある人間らしさの重要性）に同意し、その上で自身の論点（例：援助において最も重要なのは自己決定権の尊重である）を明確に提示する。
【本論1：350字】：積極的な援助（婦人の行動）が有効な場面と、それが逆に受け手に負担となる事例を分析する。
【本論2：350字】：見守り、待つ援助（少女の行動）の価値を、具体的な経験（ボランティア、家族への援助など）に基づいて説明し、それがどのように相手の自立や尊厳を守るかを示す。
【結論：150字】：看護の現場において、状況と相手を注意深く見極め、最適な距離で関わることこそが、真の人間らしい資質であり、看護学を学ぶ上で重要であると結論づける。
対策ポイント
人文書・思想系の読解力を高める
大江健三郎やシモーヌ・ヴェイユなどの著名な作家や思想家の文章に慣れ、抽象的な概念（例：「人間らしさ」「不幸」）を具体的に捉える訓練をしましょう。
「倫理的な対比」のテーマで論述練習を行う
「親切vs配慮」「効率性vs人間性」といった対立する概念をテーマに、自分の意見を構築し、過去の経験を引用する練習を重ねてください。
小論文（第二回）：ケアラー支援に関する条例
問題の概要
藤沢市議会で取り組まれている「ケアラー支援に関する条例（素案）」に関する記事が課題文です。条例がヤングケアラー、若者ケアラーなど全てのケアラーを対象とし、支援計画の策定をうたう背景には、ケアラー経験者の思いがあります。また、条例前文で「ケアは、人と人との関係をつなぐ大切な行為」と定義し、ケアをネガティブに捉えないよう配慮している点が重要です。著者の主張を踏まえ、具体的な経験や例を示しながら1000字以内で論述することが求められています。
解き方のポイント
「ケアの価値」と「ケアラーの支援」を両立させる
ケアが「大切な行為」であるという普遍的な価値を認めつつ、その担い手を孤立させてはならないという現代社会の課題をどう両立させるかが論点です。この二面性を捉えた上で、自分の意見を形成しましょう。
様々な「ケアラー」の範囲を意識する
ヤングケアラー、若者ケアラー、ビジネスケアラーなど、幅広い世代と状況のケアラーが対象であるため、自分の経験や事例を挙げる際、どの層（例えば、祖父母の世話、幼い兄弟の世話、病気の友人へのサポートなど）に焦点を当てるかを明確にします。
「制度支援」の限界と必要性を論じる
条例による制度的な支援（ケースワーカー、訪問看護など）が、どのようにケアラーや要介護者の生活を支えるのか、また制度があっても解決できない「心の孤立」に対し、看護学生としてどう関わるかを具体的に提言しましょう。
文章構成（1000字目安）
【序論：150字】：課題文の核心（ケアの価値と支援の必要性）に言及し、自身の主張（例：社会の無関心がケアラーの孤立を生むため、アウトリーチ型支援が重要である）を提示する。
【本論1：350字】：制度的支援（条例など）が、具体的な経験においてどのように有効であったか、または何が不足していたかを分析する。
【本論2：350字】：ケアラーの「当たり前」の生活を維持するために、看護師や医療者が果たせる役割（SOSの受け皿、適切な社会資源への接続など）を具体例を交えて提言する。
【結論：150字】：ケアが誰にとっても大切な行為であり続けるために、社会全体でケアラーを支え、孤立を防ぐ意識と行動が重要であると結論づける。
対策ポイント
社会保障制度や最新ニュースを把握する
「ヤングケアラー」「ビジネスケアラー」など、福祉に関する最新のキーワードや社会の取り組みを日常的にチェックし、知識を蓄えましょう。
「公」と「私」の境界線について考察する
家族の役割（私）と行政・社会の役割（公）がどこにあるべきか、またそのギャップを埋めるためには何が必要か、という視点を持って思考を深めましょう。
課題文型小論文対策について
ここでは課題文型小論文について対策を4ステップで紹介をしていきます。
課題文型小論文の入試対策方法（4ステップ）
ステップ1: 読解と要約の基礎固め
日常的に新聞のコラム（社説など）や、専門分野に関する新書、論説文などを読み、筆者の主張や論理展開を素早く正確に把握する訓練をします。特に、一文一文の要点を抽出する「精読」を意識し、400字程度の要約を作成する練習を繰り返しましょう。
ステップ2: 賛否両論と多角的な視点の育成
読んだ文章や社会問題に対して、筆者とは異なる意見（反対意見）や、第三の視点（多様な背景を持つ人々の視点）を必ず考える癖をつけます。テーマに対する多角的な考察は、深い論述の土台となります。
ステップ3: 定番テーマでの型（構成）練習
教育、医療、環境、AIなど定番のテーマを選び、毎回必ず「序論（主張・論点）→本論（理由・具体例）→結論（まとめ）」の型に従って、指定された字数（例：600字、800字）で一気に書き上げる練習をします。構成のスピードと精度を高めましょう。
ステップ4: 制限時間内での過去問演習
志望大学の過去問、または類似形式の大学の過去問を準備し、必ず試験時間（90分など）を計って本番通りに答案を完成させる訓練を行います。特に、読解・構成・執筆のすべての工程を時間内に終わらせることを目標にしてください。
さいごに
ここまで、記事をご覧いただきありがとうございました。
今回は東京純心大学の過去問解説を交えて、小論文対策の方法を紹介いたしました。
ただ、試験問題については年度ごとに変わっていくこともあるため、いろんなパターンの小論文には触れておきましょう。
現在、弊校では小論文のパターン別の対策記事を出しております！
その他のパターンの対策を知りたいという方はぜひ、こちらもご覧ください！
