川崎市立看護大学の小論文対策 一般選抜の過去問全4年分を解説

松田勇一
監修:松田 勇一アイプラスアカデミーディレクター / 指導歴25年 大手予備校や武田塾等の責任者を歴任後、現在は大学受験専門予備校と看護学部受験専門の予備校を運営。朝日新聞グループ『マイベストプロ愛知』認定の教育のプロとして、毎年多くの受験生を看護学部合格へ導いている。

川崎市立看護大学の小論文過去問全4年分(2022年の開学から2025年まで)を分析した一般選抜前期の具体的な対策方法を解説します。

こちらの記事は一般選抜の小論文の対策の記事です。学校推薦の小論文の対策については、「川崎市立看護大学の学校推薦型選抜(推薦入試)の小論文の対策」をご確認ください。

また、入手が困難な川崎市立看護大学の過去問の情報については「川崎市立看護大学の過去問【2022〜2025年度】入手方法と出題一覧」の記事をご覧ください。

また、こちらの記事の内容については、以下の動画でも解説しています。

川崎市立看護大学の小論文の過去問(一般選抜 前期)全4年分

川崎市立看護大学が開学した2022年度から2025年度までの、一般選抜前期のすべて過去問の内容は以下のようになっています。

2025年度川崎市立看護大学小論文過去問(一般選抜 前期)

この文章を読み、以下の問題に解答しなさい。

(本文省略)

(エドガー・H・シャイン著, 原賀真紀子訳, 金井壽宏監訳『問いかける技術――確かな人間関係と優れた組織をつくる』英治出版株式会社 より一部改変)

問題1筆者の考える「コミュニケーションにおける投資」とはどのようなことを指すかについて200字以内で説明しなさい
問題2あなたの考える「信頼関係を築くことのできるコミュニケーション」について、600字以内で論じなさい。

川崎市立看護大学2025年度小論文過去問

2024年度川崎市立看護大学小論文過去問(一般選抜 前期)

この文章を読み、以下の問題に解答しなさい。

(本文省略)

(デイヴィッド・デステノ著 『信頼はなぜ裏切られるのか――無意識の科学が明かす真実』 より一部改変)

問1:筆者の考える「信頼」とはどのようなものか。150字以上200字以内で説明しなさい。
問2:課題文の内容を踏まえ、信頼関係を築くことについてあなたの考えを600字以内で述べなさい。

川崎市立看護大学2024年度小論文過去問

2023年度川崎市立看護大学小論文過去問(一般選抜 前期)

この文章を読み、以下の問題に解答しなさい。

(本文省略:ニューロダイバーシティーや多様な価値観についての記述)

(岡崎明子, 多事奏論「『ふつう』という幻想 多様性は、そこにある」 朝日新聞 より一部改変)

問題1:多様性を認め合う社会について、課題文の内容を要約した上で、あなたの考えを800字以内で述べなさい

川崎市立看護大学2023年度小論文過去問

2022年度川崎市立看護大学小論文過去問(一般選抜 前期)

この文章を読み、以下の問題に解答しなさい。

(本文省略)

(伊藤賢一著 『高校生におけるネット依存とゲームのヘビーユーザーの実態』 より一部改変)

問題:下記の文章を読み、内容を要約した上で、ゲーム依存の予防についてあなたはどのように考えるか、合計800字以内で論じなさい。

川崎市立看護大学2022年度小論文過去問

設問の形式は2つある!

パターンA:分離型(要約or説明と論述が独立)

問題1:200字以内で説明しなさい
問題2:600字以内で論じなさい

というように、設問自体が分かれている形式。

2025年度と2024年度はこちらの形式で出題されました。

パターンB:一体型(要約or説明・論述がセット)

問題:内容を要約した上で、自分の考えを述べなさい

というように、ひとつの設問(800字以内)の中で、要約または説明と論述が求められる形式。

2023年度と2022年度はこちらの形式で出題されました。

設問の形式は違いますが、求められている内容は全ての年度で、対人関係のあり方や社会の多様性といった看護の根幹に関わるテーマを、客観的な視点(要約・説明)と自身の価値観(論述)の両面から深く考察する力が問われています。

また、試験時間80分で800字を書くことが求められるため、時間としてはタイトになっています。


川崎市立看護大学の小論文の過去問(一般選抜 前期)の出題内容

課題文の出典

川崎市立看護大学の一般選抜前期の小論文にある課題文の出典は以下のようになっています。

年度課題文の出典
2025エドガー・H・シャイン(著),原賀真紀子(訳),金井壽宏(監訳)
問いかける技術–確かな人間関係と優れた組織を作る
2024デイヴィット・デステノ(著),寺町朋子(訳)
信頼はなぜ裏切られるのか-無意識の科学が明かす真実
2023岡崎朋子,多事奏論
「ふつう」という幻想 多様性はそこにある
2022伊藤賢一
高校生におけるネット依存とゲームのヘビーユーザーの実態
2022(追試)稲垣俊介・和田裕一・堀田龍也
高校生における対人依存欲求とインターネット利用の性差との関係

課題文の内容とポイント

上記では課題文の出典を紹介しました。
では、課題分の具体的な内容とポイントを紹介をしていきます。

2025年度:エドガー・H・シャイン 著『問いかける技術―確かな人間関係と優れた組織をつくる』

◎どんな内容?
社会学の視点から、良好な人間関係を築くための「質問」の重要性を論じた内容です。質問を単なる情報収集ではなく、相手への関心を示し会話の主導権を渡すことで「信頼」を生み出す投資的行為として捉える視点が示されています。

◎ここがポイント!
設問では「投資」の意味の説明と、「信頼関係を築くコミュニケーション」についての持論が問われました。看護の現場でも重要となる、相手を尊重し、対等な関係を構築するための具体的な姿勢やビジョンが試されています。

2024年度:デイヴィッド・デステノ 著『信頼はなぜ裏切られるのか』

◎どんな内容?
心理学の視点から「信頼」の正体を科学的に解き明かした内容です。「信頼」を単なる美徳としてではなく、脳が無意識に行っている「将来の利益を最大化するための計算」や生存戦略として捉える、斬新な視点が示されています。

◎ここがポイント!
設問では「筆者の考える信頼」の説明と「自分の考え」が問われました。信頼を直感や道徳心だけでなく、リスクや協力関係といった科学的なメカニズムとして理解し、人間関係にどう応用するかという論理的思考力が試されています。

2023年度:岡崎朋子 著『「ふつう」という幻想 多様性は、そこにある』

どんな内容?
「ニューロダイバーシティ(脳の多様性)」をテーマに、私たちが無意識に抱いている「ふつう」という概念を問い直す内容です。少数派を排除するのではなく、誰もが生きやすいように社会の側を耕していく「カルティベーション(耕作)」という考え方の重要性が説かれています。

ここがポイント!
設問では「多様性を認め合う社会」について、要約と持論の双方が求められました。自分とは異なる特性を持つ他者を尊重し、環境や評価のあり方を柔軟に変えて包摂しようとする看護職としての姿勢が試されています。

2022年度入試:伊藤賢一 著『高校生におけるネット依存とゲームのヘビーユーザーの実態』

どんな内容?
ゲームやSNSへの依存が、単なる遊びの延長ではなく「承認欲求」や「連帯感」といった切実な心理と結びついている実態を分析した内容です。現実世界での居心地の悪さを埋めるために、ネットの中に自分の居場所や情緒的な安定を求めるメカニズムが示されています。

ここがポイント!
設問では内容の要約に加え、「依存の予防」に対する具体的な考えが問われました。表面的な依存現象だけを否定するのではなく、その背景にある人間の孤独や心の動きを洞察し、どう寄り添うかという深い人間理解が試されています。

これらの課題文から何が求められるの?

川崎市立看護大学の小論文で一貫して問われているのは、単なる文章読解力ではありません。

テーマのジャンルは社会・人間関係・コミュニケーションが中心となっており、看護師としての適性や人間性、協調性を問う課題分の内容となっています。


川崎市立看護大学受験予定の皆さん・保護者さま

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川崎市立看護大学の小論文の過去問全4年分の傾向

アドミッションポリシーと一致するかが見られている!

川崎市立看護大学は入学者受け入れ方針(アドミッションポリシー)の中で以下を掲げています。

アドミッションポリシーは入試問題の傾向を伝えていく上では必要不可欠になるため、以下の内容はマストで覚えていただければと思います。

アドミッションポリシー
  • 大学で看護を学修するための基礎的学力が身についている人(基礎学力)
  • 人々の生活、環境に興味関心をもち、命の尊厳と人の権利を重んじることができる人(倫理性・人の生活への関心)
  • 自らの可能性を信じ、課題に対して主体的に取り組む努力ができる人(自律と努力)
  • 多様な考え方を尊重するとともに、自らの考えを表現し、他者との関係性を築いていける人(コミュニケーションと協調)
  • 保健医療福祉に広く関心を持ち、自らの活動を通して地域社会に貢献したいという意欲がある人(地域愛と活動力)

特に出題テーマで採用されている、社会・人間関係・コミュニケーションはアドミッションポリシーと密接に関わってくることがわかります。

「人間関係」「信頼」「多様性」「ネット依存」「対人依存欲求とインターネット」

このように人間関係や社会問題に焦点を当てて、アドミッションポリシーと一致しているかを見ていく傾向があります。

要約パートはキーワードが掴みやすい

川崎市立看護大学の過去問傾向として、要約すべきポイントがわかりやすいという傾向があります。

出題パターン問わず、あらかじめ要約や説明をして欲しい対象が明記されているため設問の要求を掴みやすいです。

論述パートは「自分の視点」「他者の視点」のバランスが大事

川崎市立看護大学は基本的に設問内容としては「あなたの考えを述べなさい」というような、自身の意見論述が設問としては求められています。

中でも2023年度、2022年度(追試)に関しては以下のような内容が問われています。

年度設問内容
2025「信頼関係を築くことのできるコミュニケーション」についての主張
2024筆者の主張をふまえた「信頼」についての主張
2023多様性を認め合う社会についての提言
2022ゲーム依存の予防についての考察
2022(追試)ネット依存予防についての方策

というように社会系のテーマは対象が「他者」になります。

看護師の仕事は患者の命や健康を守る他者貢献の仕事になります。

「あなたの考えを述べなさい」という自身の考えを述べる問い方ではありますが、自身の考えが他者にどのような影響を及ぼしていくのか、「その先」までを考えた主張が要求されます。

中でも、2022・2023年の内容に関しては、「自分と社会」を結びつけて予防や社会づくりの意見を論述していかなければなりません。

2025・2024年も同様に「他者との関わり」に関して論述を展開していくので、

「自分の考えを述べる」だけではいけないということです。

では、他者貢献の視点だけで書けばいいのか?

それだと今度は自身の意見が見えなくなってしまいます。

そのため「自分軸」「他者軸」の考えをバランスよく保って論述ができるかどうかがポイントになってきます。

川崎市立看護大学 一般選抜(前期)の小論文の対策

ここまで説明した出題傾向から、川崎市立看護大学の小論文の対策方法についまとめます。

まずは基本の型から身につける

小論文対策でまず初めに身に付けたいのが型の定着です。

基本の型を身につけて定着をさせることで、課題文のパターンや文章量が変わっても対応ができるようになります。

基本の型を定着させることができれば、構成にかける時間を少なくすることができます。

構成にかける時間が少なくなればその分、課題文の読解に時間を使うことができるようになります。

そのため「小論文対策、何から始めればいいかわからない!」という方は基本の型を身につけると頃からスタートしていきましょう。

小論文対策の優先順位は?

対策が進めにくい小論文ですが、どのように対策をすればいいか?

ここでは、川崎市立看護大学に特化をした小論文対策の3ステップを紹介していきます。

ステップ1:高負荷な文章で読解スピードと読解力UP

川崎市立看護大学の小論文は、問題冊子がA4版1枚程度と非常にコンパクトな作りになっています 。まずは、あえて同じ課題文型の他大学(埼玉県立大学など)や市販テキストの長文問題に取り組みましょう。

情報量が多い文章でトレーニングを積むことで、本番の短い文章をより短時間で、かつ正確に理解できるようになるため。

ステップ2:川崎市立看護大学の全入試区分を網羅し、傾向に慣れる

ステップ1で読解の基礎体力がついたら、次は志望校の形式に特化します。前期試験だけでなく、後期一般選抜や推薦入試の過去問にも幅広く取り組みましょう。

川崎市立大学は後期一般選抜・推薦入試ともに内容は似ているものになるため、出題の根底にある「看護職としての適性」や「人間理解」を問うテーマは共通しています。

そのため「川崎市立看護大学の過去問演習をする!」という場合はその他の入試方式の問題をやっておくと対応できる幅が広がり、数をこなすこともできます。

ステップ3:制限時間を厳守した「本番想定」の最終演習

最後は、実際の試験時間や文字数の制限を意識した演習を行います。

川崎市立看護大学の小論文は課題文の文章が短い分、一つひとつの語句の選択や論理構成の密度が評価を分けます。余った時間を「推敲」に充て、より説得力のある記述を目指す練習が必要になってきます。

この時にはステップ1を踏まえて読解力・スピードが上がっている状態になるため、ステップ3はとにかく「内容重視」の対策をしていきましょう。

川崎市立看護大学に合わせた書き方の練習をしよう

川崎市立看護大学は、指定されている800字の中に要約や説明を入れたうえで論述を求める1題の形式がメインで出題される傾向にあります。

そのため、字数配分が要約説明と論述で分かれている2題の形式とは文字数の配分が異なっているということを理解しておきましょう。

また、要約説明〜論述が1題にまとまっている分、話の繋ぎ方も異なってくるため、基本的な型が身についたら学校の出題形式に合わせた対策を始めていきましょう。

最初は長めの文章で課題文読解を始めよう

川崎市立看護大学の小論文問題の課題文は比較的短いです。
文章量に関しては、A4用紙1枚で収まるほどなので、他大学の同じタイプの小論文と比較すると文章量は少ない部類になります。

ただ、試験は80分で800字程度を書き上げなければならないため、読解の時間を短かうすることがポイントです。

そのため、長文の読解を過去問演習に入る前にやっておくことがおすすめです。

また、長文の読解を重ねていけば、要点を見つけるのが早くなるのはもちろん、一度に処理できる情報量は上がります

そうすることで、文章が少なめな川崎市立看護大学の課題文もさらに素早く読み取ることができ、要約や論述の内容向上に時間を使えるようになります。

設問は先に読んでキーワードに着目をしよう

川崎市立看護大学は例年問題文の中に「〇〇について」というように要約や説明に繋がるワードが掲示をされています。

そのため、説明問題であれば指定されたワード周辺を中心に精読をしていくこともでき、要約問題に関しては論述に使えるワードを探しやすくなります。

文章自体はコンパクトなので、まずは落ち着いて、設問が何を要求しているかを掴んで読解を進めておきましょう。

2パターンの解き方を身につけよう

川崎市立看護大学は基本的に2パターンの形式で入試問題が出題されます。

要約説明、論述が1つにまとまったパターン、別々になっているパターンの2つです。

それぞれ構成の仕方は異なってくるため、ご注意ください。

そのため、入試当日はどちらが出てくるかは読めないため、2パターンの基本を確立させることが無難です!

過去問演習+第三者の添削で万全の対策を!

ここまで、川崎市立看護大学の小論文対策を紹介してきました。

ですが、問題・過去問演習だけでは不十分です。なぜなら、小論文は自分では評価できないからです。

論理展開に矛盾はないか、具体例は適切か、制限字数に対して内容は十分か――こうした点は、自分だけでは客観的に判断することが難しいのです。

そのため、看護の視点について理解のある人に書き方と内容について添削をしてもらうことが大切です。

学校の先生、予備校の講師、看護系に詳しい指導者など、第三者の目を通すことで、自分では気づけなかった改善点が見えてきます。

また、川崎市立看護大学だけでなく、他校の課題文型小論文にも積極的に取り組むことをおすすめします。同じパターンの問題に数多く触れることで、どんな形式でも対応できる応用力が身につきます。

共通テストが終わってから本格的に川崎市立看護大学の小論文の対策を始める受験生がほとんどですので、過去問演習と第三者の添削を組み合わせて、一つでも多くの課題に取り組み、万全な状態にしていきましょう!

川崎市立看護大学受験予定の皆さん・保護者さま

アイプラスアカデミーでは、共通テスト終了後から一般選抜前期に向けての川崎市立看護大学の小論文と面接の対策を行なっています。

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この記事を書いた人

安井玲音

看護学部受験専門アイプラスアカデミー 専任講師。 出願書類(志望理由書)添削・小論文・面接指導を専門とし、年間1000本以上の添削を担当。 今年度、担当した全受講生を志望校合格へと導く。 単なる文章の添削ではなく、看護師としての適性を引き出し、採点官に響く「合格答案」の作成を徹底サポート。

【監修】松田 勇一(ディレクター) 朝日新聞グループ運営「マイベストプロ愛知」にて、厳正な審査を通過した教育の専門家。 本記事は、25年以上の大学受験指導キャリアを持つディレクター・松田の監修に基づき、最新の入試データと指導実績を反映して作成されています。