埼玉県立大学の一般選抜(前期)の小論文は、2024年度から出題形式が大きく変わりました。試験時間60分で空欄補充2問+論述(600〜800字)という構成です。本記事では、過去問5年分の過去問分析をもとに、出題傾向と具体的な対策法を解説します。
出題テーマも、単なる医療福祉分野の知識を問う問題から、人間観や倫理観など、「保健・医療・福祉」に携わる者としての適性、および多職種連携への理解を小論文で問うようになりました。
埼玉県立大学は全学科・専攻で同じ問題が出題されますので看護学科を受験する方も必見の内容になっています。
また、埼玉県立大学の過去問の入手方法については「埼玉県立大学の過去問の入手方法と活用方法」の記事をご確認ください。
- 埼玉県立大学の小論文の過去問から傾向がわかる
- 小論文で求められる考えや視点がわかる
- 埼玉県立大学の対策方法がわかる
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埼玉県立大学の小論文の過去問の傾向
| 試験時間 | 60分 |
| 大問数 | 3題 |
| 小論文の字数 | 600〜800字 |
| 配点 | 100点 |
埼玉県立大学の小論文試験は、60分という限られた時間の中で2つ、もしくは3つの設問に答えなければなりません。
- ① 「問題1」「問題2」の傾向
直近2年間は空欄補充の問題が出題されており、文章読解の中で答える形式です。内容は熟語や文脈を理解していれば解けるレベルですが、スピーディーな処理能力が求められます。 - ② 「問題3」の傾向
下線部の内容に関する論述を600〜800字で求められます。テーマは非常に幅広く、医療福祉だけでなく、倫理や社会問題などが設定されています。 - ③ 時間配分の重要性
60分間で3問を解き、かつ長文論述を書き上げるため、時間はかなりタイトです。そのため、「読解力」と「論述力」の力量の差が合格を分ける大きなポイントになります。
小論文は入学者としての資質を重視している!
埼玉県立大学保健医療福祉学部はアドミッションポリシーとして以下を掲げています。
・高い専門知識、技術の習得に必要な基礎的学力
・保健医療福祉の分野における学術的探究や実践的活動に取り組む意欲
・多様な人々と関わり合うことのできる基本的なコミュニケーション能力
本学はこれらを学力試験、小論文、面接試験等を通して総合的に判断し、保健医療福祉の様々な専門分野で活躍するための出発点に立つにふさわしい向上心をもった人々に、広く門戸を開きます。
引用元:埼玉県立大学 公式HP
大学側はこれらを総合的に判断し、保健医療福祉の様々な専門分野(看護・リハビリ・社会福祉・検査・放射)で活躍するための出発点に立つにふさわしい人々を求めています。
出題テーマが変わっている
小論文のテーマに関しても、2019年度以前までは、各学科(看護・理学・社会福祉など)の専門分野に近い知識や関心を問う形式が中心でした。しかし、2021年度の入試制度改訂以降は、「どの学科の志望者であっても、保健・医療・福祉の統合的な視点を持っているか」を問う内容へとシフトしています。
そこを踏まえてここからは問題に焦点を当てて、埼玉県立大学の小論文の傾向について紹介をしていきます
埼玉県立大学の小論文の過去問の出題構成
埼玉県立大学の小論文は課題文型小論文の形式を採用しています。
2024年度以前は課題文が2つでしたが、2024年度以降は課題文が1つになりました。
直近2年間の出題構成は空欄補充2問、論述1問となり問題自体は2024年度以前よりもシンプルになり、より受験生の思考力・表現力・判断力の評価軸が強くなった構成になっています。
過去のテーマに関しては以下のように出題されています。
| 年度 | 出題テーマ | ジャンル |
|---|---|---|
| 2025年度 | 池上彰 『池上彰が大切にしているタテの想像力とヨコの想像力』 | 倫理・哲学・思考 |
| 2024年度 | 青木省三 『校則違反?』 | 倫理・哲学・思考 |
| 2019年度 | ①国分拓 『ノモレ』 ②内山真『睡眠のはなし』 | 人間・社会・文化 |
| 2018年度 | ①溝口優司『アフリカで誕生した人類が日本人になるまで』 ②東京大学医学部健康総合科学科『社会を帰る健康のサイエンス:健康総合科学への21の扉』 | ①人間・社会・文化 ②医療・健康科学 |
| 2017年度 | ①鈴木晃仁・鈴木実佳訳『Medicine-医学を変えた70の発見』 ②ベン・ゴールドエイカー著 梶山あゆみ訳『デタラメ健康科学-代替療法・製薬産業・メディアのウソ』 | 医療・健康科学 |
上記のように、新型コロナウイルス感染拡大の前後、大学入試の制度が変わってからはテーマのジャンルも、医療福祉分野から人間観や倫理観を問うような形式に変わってきました。
2020年度以前:医療福祉分野への深い考え
↓
2024年度以降:医療福祉分野に従事する人としての適性・人間性
このようにして小論文を通じて受験生に求められるものは変わっています。
以下からは各問題を中心にした傾向の紹介になります。
新形式になってからはどんな問題が出た?
今回はその中でも、問題形式が変わった2025・2024年度の過去問の内容について紹介をしていきます。
2025年度:池上彰 著
『池上彰が大切にしている タテの想像力とヨコの想像力』
◎どんなお話?
「自分以外の他者や、ここではない場所」を思い浮かべるヨコの想像力と、「未来の自分や歴史の流れ」を意識するタテの想像力の大切さを説いた内容です。AI時代だからこそ、人間にしかできない「あったらいいな」と未来を構想する力の重要性が語られています。
◎ここがポイント!
設問では「大学生活の展望」が問われました。自分の将来(タテ)と、周囲の人々や社会との関わり(ヨコ)をどう結びつけるかという、プロを目指す上でのビジョンが試されています。
2024年度:青木省三 著
『校則違反?』
どんなお話?
児童精神科医である著者が、ある少年の事例を通じて「ルール(校則)」と「個人の事情や背景」の葛藤を描いた内容です。単に規則を守るかどうかではなく、その裏にある生きづらさや、他者への理解について問いかけています。
ここがポイント!
設問では「障害者が自分らしく生きられる社会のために、私たち一人一人ができる行動」が問われました。画一的なルールではなく、一人ひとりの背景に寄り添う姿勢という、医療福祉の根幹に関わるテーマです。
結局、何が求められているの?
埼玉県立大学の小論文で問われているのは、高度な専門知識ではありません。 大切なのは、「想像力を広げて他者の背景や文章を理解し、自分に何ができるかを誠実に考え抜く姿勢」です。 この「想像力」と「主体性」こそが、埼玉県立大学保健医療福祉学部の合格に近づくポイントになってきます。
直近の出題パターンを抑えておこう!
埼玉県立大学の小論文は出題構成が変わったと言うお話をしてきました。
変更後の直近2年間は下記の内容で出題されています。
2025年度:空欄補充(2問)+論述(1問)
2024年度:空欄補充(1問)+説明を伴う論述(1問)
上記の構成になっています。
入試問題が新しくなって間もないため、この両方の形式に対応できるよう準備が必要です。
実際の設問はどんな感じだった?
上記の内容を踏まえて2025年度・2024年度の設問では何が求められていたのかを見ていきましょう!
2025年度過去問
この文章を読み、以下の問題に解答しなさい。
(本文省略)
(池上彰著 『池上彰が大切にしているタテの想像力とヨコの想像力』講談社 より一部改変)
問題1:本文中aに入る語句として、最も適切な語句を1つ選び記号で答えなさい
埼玉県立大学2025年度小論文過去問
問題2:本文中「b」に入る語句として、最も適切な語句を1つ選び記号で答えなさい
問題3:あなたはこれから、どのような大学生活を送りたいですか?本文の内容を踏まえて480字以上600字以内で述べなさい。その際「タテの想像力」及び「ヨコの想像力」を必ず用いて記述すること
2024年度過去問
【問題】
以下の文章は、ある医師が外来で担当した生徒とのエピソードを綴ったものである。この文章を読んで、問題に答えなさい。(本文省略)
(出典:青木省三 校則違反? 日本評論社 こころの科学151号より一部改変)
問題1:本文中の( a )及び( b )に入る慣用句として適切なものを記号で選択せよ
埼玉県立大学2024年度小論文過去問
問題2:下線部cはどのようなものか、具体的に説明せよ。さらにそれらを実現するために私たち一人一人に求められる行動とは何か。あなたの考えを640字以上800字以内で述べなさい。
いずれも、課題文の深い理解をベースにしつつ、それを「自分事」としてどう捉え、どう行動するかという主体性が問われています。
評価の軸は「学力の3要素」にあり!
埼玉県立大学は小論文試験を学力の3要素に則った評価方法から「思考力・判断力・表現力等」を入試で評価していると募集要項に明記しています。
学力の3要素に関しては大学側で決められているものではなく、文部科学省が設定しているものになっています。
これは、どの大学も共通で設定されている基準になっているため、上記の評価ポイントははマストで抑えておきましょう!
思考力・判断力の問われる「問題1」「問題2」
「問題1」「問題2」は入試問題が変わった2024年度以降は空欄補充になっています。
先ほど紹介した学力の3要素の思考力・判断力が問われる部分で、内容は本文に適した語句を選択肢から解答する問題パターンになります。
選択肢に出てくる語句に関しては特段難しい語句はなく、現代文の基本的なレベルがあれば正しい解答を選択できます。
そのため、文脈から適切な解答を選ぶことのできる思考力や判断力が問われる部分です。
思考力・判断力は医療福祉分野で働くには非常に大切な力になります。
例えば、看護の現場では患者の治療の状況を日々の様子や言葉から、考えて医師に共有をすることもあります。
判断力に関しても、病状の変化でどんなケアが必要なのかも考えていかなければなりません。
そういった観点からも入学者としての適性だけでなく、医療福祉分野に従事する人としての適性もみられているということを理解していきましょう。
「問題3」は思考力・判断力・表現力の3つを理解しよう
問題3に関しては、2025年度はキーワード指定の論述、2024年度は内容説明+論述で出題をされています。
思考力は指定されているワードや下線部の内容を理解するため。
判断力は論述の構成に必要な要素を選ぶため。
表現力は、文章の読解を通して理解した内容、自身の考えを文章に落とし込むため。
このように論述パートは学力の3要素の中にある「思考力・判断力・表現力等」の代表的な部分が総合的にみられます。
埼玉県立大学の小論文対策
ここまで説明した出題傾向から埼玉県立大学の小論文の対策方法について方法をまとめていきます。
まずは基本の型から身につける
小論文対策でまず初めに身に付けたいのが型の定着です。
基本の型を身につけて定着をさせることで、課題文のパターンや文章量が変わっても対応ができるようになります。
基本の型を定着させることができれば、構成にかける時間を少なくすることができます。
構成にかける時間が少なくなればその分、課題文の読解に時間を使うことができるようになります。
そのため「小論文対策、何から始めればいいかわからない!」という方は基本の型を身につけるところからスタートしていきましょう。
小論文対策の優先順位は?
対策が進めにくい小論文ですが、どのように対策をすればいいか?
ここでは、埼玉県立大学に特化をした小論文対策の3ステップを紹介していきます。
ステップ1:過去問演習は年度の古いものから始める
「どうして年度の古いものから?」と思うかもしれませんが、明確な理由があります。
埼玉県立大学の小論文は、年度を追うごとにテーマのジャンルが変化しています。具体的には、医療・健康科学系(2014-2018年頃)→ 人間・社会・文化系(2016-2019年頃)→ 倫理・哲学・思考系(2024-2025年) という流れです。
つまり、古い年度ほど専門的でマニアックな内容、新しい年度ほど身近で触れやすい内容になっているということです。
専門的な文章には専門用語が多く、予備知識がないと一文一文の理解に時間がかかります。しかし、最初にこうした「読みにくい文章」で読解力を鍛えておけば、身近なテーマの文章を読むときには読解スピードが格段に上がり、思考や論述により多くの時間を使えるようになります。
これが、「マニアックな過去問 → 身近な直近の問題」の順で演習する最大の理由です。
ステップ2:ジャンルごとに読解スピードの向上を実感する
ステップ1で専門的なテーマに取り組んだ後は、徐々に身近なテーマへと移行していきます。
人間・社会・文化系(2015-2016、2018-2019年頃) のテーマでは、福祉国家、睡眠、人類学など、専門性はありつつも日常生活との接点がある内容が扱われます。
ここでは、ステップ1で鍛えた読解力の成果を実感できるはずです。専門的な文章で培った「論旨を掴む力」があるため、文章理解にかかる時間が短くなっているでしょう
そのため、この段階では浮いた時間を使って論述の質を高めることに意識を向けていきましょう。具体例を効果的に使う、論理展開をより明確にする、といった「内容の深化」に力を注ぎましょう。
ステップ3:直近のテーマで時間的余裕を持って深く考える
最後に取り組むのが、倫理・哲学・思考系(2024-2025年) です。
これらは校則、想像力など、誰もが経験や意見を持てる身近なテーマです。専門用語もほとんどなく、予備知識がなくても内容を理解できます。
ステップ1・2を経てきたあなたにとって、この段階の文章は最も読みやすく、時間的余裕を持って取り組めるはずです。
ここでは読解スピードの速さを活かして、より深い思考と説得力のある論述を目指してください。抽象的な概念を自分の具体例で説明する、多角的な視点から論じる、といった「思考の深さ」が評価のポイントになります。
また、この段階は本番に最も近い形式なので、時間を計って演習することで、最終調整として最適です。
埼玉県立大学に合わせた書き方の練習をしよう
基本の型が身についたら、次は志望校に合わせた対策をしていきましょう。
埼玉県立大学は2024年度以降から入試の出題形式が変わっています。
そのため、現状としては2024年度以降の出題形式の練習で問題はないでしょう。
ですが、出題テーマに関しては発達障害のテーマが扱われているため、医療福祉分野についての論述もやっておきたいと言う方は旧形式の問題に取り組むことをお勧めします。
以下では問題ごとの対策についてもお話をしていきますので、そちらもチェックしてください!
「問題1・2」(空欄補充)は読解の中で進める!
埼玉県立大学の入試は60分と非常にタイトなスケジュールで行います。
そのため、問題文読んでからの解答という進め方はあまりお勧めできません。
文章を読む中で適切な語を答えていく、「ながら」でやるのが論述に時間が割ける方法になります。
課題型小論文は読解の時間を短くしていくことが、論述に時間が使え、最終的な質を上げる鍵になってきます。
問題3は具体性の癖づけが鍵!
埼玉県立大学は2024年度の入試から入試で答える内容が変わってきました。
2025年度:「タテの想像力」「ヨコの想像力」を用いた大学生活の展望
2024年度:障害者が自分らしく生きられる社会・文化に対して一人一人できることへの提言
このようにして、設問での要求が設定されています。
そのため、「どうなりたい」「こんな風にしたい」という話は具体的にしていくのが大事です。
設問は先に読んでキーワードに着目をしよう
埼玉県立大学は例年問題文の中に「〇〇について」というように要約や説明に繋がるワードが掲示をされています。
そのため、説明問題であれば指定されたワード周辺を中心に精読をしていくこともでき、要約問題に関しては論述に使えるワードを探しやすくなります。
文章自体はコンパクトなので、まずは落ち着いて、設問が何を要求しているかを掴んで読解を進めておきましょう。
2パターンの解き方を身につけよう
埼玉県立大学は基本的に2パターンの形式で入試問題が出題されます。
要約説明、論述が1つにまとまったパターン、別々になっているパターンの2つです。
それぞれ構成の仕方は異なってくるため、ご注意ください。
そのため、入試当日はどちらが出てくるかは読めないため、2パターンの基本を確立させることが無難です!
過去問演習+第三者の添削で万全の対策を!
ここまで、埼玉県立大学の小論文対策として年度の古いものから順に過去問演習を進めていく戦略を紹介してきました。
ですが、過去問演習だけでは不十分です。なぜなら、小論文は自分では評価できないからです。
論理展開に矛盾はないか、具体例は適切か、制限字数に対して内容は十分か――こうした点は、自分だけでは客観的に判断することが難しいのです。
そのため、看護の視点について理解のある人に書き方と内容について添削をしてもらうことが大切です。
学校の先生、予備校の講師、看護系に詳しい指導者など、第三者の目を通すことで、自分では気づけなかった改善点が見えてきます。
また、埼玉県立大学だけでなく、他校の課題文型小論文にも積極的に取り組むことをおすすめします。同じパターンの問題に数多く触れることで、どんな形式でも対応できる応用力が身につきます。
共通テストが終わってから本格的に埼玉県立大学の小論文の対策を始める受験生がほとんどですので、過去問演習と第三者の添削を組み合わせて、一つでも多くの課題に取り組み、万全な状態にしていきましょう!

安井玲音
看護学部受験専門アイプラスアカデミー 専任講師。 出願書類(志望理由書)添削・小論文・面接指導を専門とし、年間1000本以上の添削を担当。 今年度、担当した全受講生を志望校合格へと導く。 単なる文章の添削ではなく、看護師としての適性を引き出し、採点官に響く「合格答案」の作成を徹底サポート。
【監修】松田 勇一(ディレクター) 朝日新聞グループ運営「マイベストプロ愛知」にて、厳正な審査を通過した教育の専門家。 本記事は、25年以上の大学受験指導キャリアを持つディレクター・松田の監修に基づき、最新の入試データと指導実績を反映して作成されています。
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