広島大学医学部保健学科の総合型選抜(光り輝き入試 Ⅱ型)の小論文と面接について、過去問と大学公式の「選抜のポイント」資料をもとに傾向を分析し、具体的な対策方法を解説します。
広島大学医学部保健学科の総合型選抜は、国公立大学の看護・保健系学科の中でも高いレベルの小論文が出題される入試として知られています。
課題文なしで800〜1000字という字数で医療・社会問題について論じる形式は、しっかりとした事前対策なしには対応できません。
また面接では、大学が公式に「重視する点」を公表しているという非常に珍しい特徴があります。この情報を活かした準備が合否を大きく左右します。
こちらの記事では、過去問・公式資料をもとに傾向と対策を詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください!
- 過去2年分の小論文テーマとその傾向分析
- 大学公式資料から読み解く「面接で重視されるポイント」
- 800〜1000字という字数での答案構成のコツ
- 小論文・面接それぞれの具体的な対策方法
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広島大学医学部保健学科の入試の基本情報
まず広島大学医学部保健学科の総合型選抜の基本的な枠組みを確認しておきましょう。
入試の形式
広島大学光り輝き入試 総合型選抜(Ⅱ型)の選考方法は以下の2段階で行われます。
- 第1次選考:書類審査(自己推薦書など)
- 第2次選考:小論文+面接
試験時間
小論文の試験時間は9:30〜11:00(90分)です。800〜1000字という字数を90分で書き上げる必要があります。時間配分の練習も対策の一部として意識しておきましょう。
小論文の傾向分析
広島大学は他の看護医療系大学に比べると、小論文の出題形式が独特なものになります。
多くの大学では、課題文型や資料分析型が中心になってきます。
しかし、広島大学は「テーマ型」という出題形式をとっています。
そのため「読み解く力」よりも「論じる力」が重視されやすいタイプの小論文になります。
こちらでは過去2年分の過去問を見ながら小論文の傾向について紹介をしていきます。
テーマ型小論文について詳しく知りたい方は下記のリンクで紹介をしておりますので、そちらも合わせてご確認ください!!
過去2年分の出題テーマ
| 年度 | テーマ |
|---|---|
| 令和7年度(2025) | オンライン診療の利点と課題 |
| 令和8年度(2026) | 多様な文化・社会的背景を持つ患者への対応として医療従事者が身につけるべき知識・スキル・態度 |
出題形式は「テーマ型」(課題文なし)
川崎市立看護大学のような課題文・資料読み取り型とは異なり、広島大学保健学科の小論文は課題文も資料も一切提示されない純粋なテーマ型です。
与えられるのはテーマの説明文(2〜3行程度)のみで、そこから800〜1000字で自分の考えを展開します。
課題文がない分、自分の頭の中にある知識・考え・医療への理解がそのまま答案に出る形式です。日頃からの情報収集と自分の意見の形成が、そのまま得点に直結します。
テーマは「現代医療の課題」に一貫している
令和7年度は「オンライン診療」、令和8年度は「多様性への対応」と、どちらも現代の医療現場が実際に直面している課題が出題されています。大学公式の「選抜のポイント」にも「高齢社会や健康観に関するテーマ、医療や保健・福祉のあり方に関するテーマ、職業選択と意識についてのテーマなど」と明記されており、この傾向は今後も続くと考えられます。
「医療従事者として」という視点が明確に問われている
令和8年度のテーマは「医療従事者はどのような知識・スキル・態度を身につけるべきか」、令和7年度は「オンライン診療の利点と課題」と、どちらも「医療の現場にいる人間として考える」視点が明確に求められています。
社会問題としての分析だけでなく、「自分が将来働く現場の話として」論じる姿勢が一貫して評価されています。
字数は800〜1000字・下書き用紙あり
字数が800〜1000字という幅を持たせた指定になっている点も特徴です。
そのため「最低800字は書く」ことが必須で、できれば900〜1000字に近い分量で論じることが望ましいです。ただ、本番の合格レベルを書くためには常に9割、900字以上を最低ラインとして書く習慣をつけておきましょう。
下書き用紙が用意されているため、本番前に構成を設計してから清書する習慣をつけておきましょう。
各年度の出題解説と攻略ポイント
ここでは現在、広島大学のサイト内で公開されている小論文の過去問をもとに内容の解説と攻略ポイントについて紹介をしていきます。
令和7年度:オンライン診療の利点と課題
オンライン診療の定義(厚生労働省の指針より)が示された上で、「利点と課題についてあなたの考えを800〜1000字で明瞭に述べなさい」という問いです。
この問いで問われていること
「利点と課題」という2つの論点を両方論じた上で、最終的に医療従事者・看護師としてどう向き合うかという自分の考えを示すことが求められています。単にオンライン診療の説明をするだけでは不十分です。
利点として論じられる視点
地理的制約の解消(過疎地・離島の患者への対応)・感染リスクの低減・通院困難な患者(高齢者・障がい者・育児中の方など)へのアクセス改善・医療機関の効率化などが主な論点です。
課題として論じられる視点
対面診察でしかできない触診・聴診などの身体的診察の限界・デジタルデバイドの問題(高齢者のITリテラシー)・通信環境の格差・個人情報・プライバシーのリスク・患者との信頼関係構築の難しさなどが論点として挙げられます。
ここが差がつく!
利点・課題を並べるだけの答案は「知識の羅列」に終わりがちです。
高評価を得るのは、「こうした課題があるからこそ、看護師・保健師として何ができるか・何を意識すべきか」という自分の視点・姿勢が盛り込まれた答案です。
令和8年度:多様な背景を持つ患者への対応
「グローバル化の進展や社会の多様性への理解の広がりに伴い、外国籍の患者や性的マイノリティをはじめ、様々な文化的・社会的背景を持つ人々が医療機関を訪れる機会が増えている」という状況を前提に、「医療従事者はどのような知識、スキル、態度を身につけるべきか」を800〜1000字で論じる問題です。
この問いで問われていること
問いの中に「知識・スキル・態度」という3つの要素が明示されています。これはそれぞれに触れて論じることが期待されているサインです。3つの要素を意識しながら、多様性への対応という観点で医療従事者に必要な資質を論じましょう。
「知識」として論じられる視点
異文化理解・宗教的タブー(食事制限・輸血拒否など)・LGBTQに関する基礎知識・言語的バリアへの対応(医療通訳・多言語対応)などが挙げられます。
「スキル」として論じられる視点
コミュニケーション技術(非言語コミュニケーション含む)・医療通訳の活用能力・患者の価値観を引き出す問診力などです。
「態度」として論じられる視点
先入観・無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)を持たない姿勢・患者の文化・価値観を尊重する姿勢・継続的に学ぼうとする姿勢などが核心的な論点です。
ここが差がつく!
「多様性を尊重する」という抽象的な表現だけで終わる答案は評価されません。
具体的な場面を想定し(例:宗教上の理由で輸血を拒否する患者への対応など)、そこで何が必要かを論じられる答案が高評価を得ます。広島大学のアドミッション・ポリシーが重視する「科学的思考力」と「論理性」が、ここでも問われています。
面接の傾向分析
広島大学医学部保健学科の面接には、大学が公式に「重視した点」を公表しているという大きな特徴があります。令和4〜6年度の3年分の資料から、一貫した評価基準が見えてきます。
大学公式資料から読み解く「評価基準」
3年分の公式資料に共通して記載されている評価ポイントは以下のとおりです。
志望動機
なぜ広島大学医学部保健学科を志望するのかが明確かどうかが問われます。「看護師になりたい」という漠然とした動機ではなく、「広島大学でなければならない理由」「保健学科でどう学びたいか」という具体性が求められます。
専攻内容に関する知識
選択した専攻(看護学専攻・理学療法学専攻など)について、一定の知識・理解があるかどうかが確認されます。保健学科の専攻に関する基本的な知識と、「なぜその専攻を選んだのか」という論理的な説明が求められます。
自己アピール
自分のこれまでの経験・活動・強みを、医療・保健の学びと結びつけてアピールできるかどうかが問われます。
自己推薦書の内容に関する質問
面接では自己推薦書の内容が深掘りされることが確実です。
3年分の資料すべてに「自己推薦書の内容に関する質問」が明記されています。提出した内容はすべて聞かれる前提で準備しておきましょう。
面接形式
- 面接者:3名
- 面接時間:約15分
- 形式:個人面接
15分という時間の中で3名の面接者が評価するという形式です。3名それぞれが異なる観点から質問する可能性があるため、「志望動機」「専攻への知識」「自己アピール」「自己推薦書の内容」という4つの軸をすべてカバーした準備が必要です。
アドミッション・ポリシーへの適合性
3年分の資料いずれにも「アドミッション・ポリシーに示された項目への適合性」が評価基準として明記されています。
面接対策において、広島大学医学部保健学科のアドミッション・ポリシーを事前に熟読し、自分の志望動機・経験・ビジョンとどう一致しているかを整理しておくことは必須です。
小論文の答案構成
800〜1000字という字数で論理的な答案を書くための構成例を紹介します。90分という試験時間を有効に使うための設計図として活用してください。
【序論】約100〜150字:主張の提示
テーマに対する自分の考え(主張)を最初に明示します。「私は〜と考える」という形で結論を先に示しましょう。
【本論①】約250〜300字:問題の現状と背景
テーマに関連する医療・社会の現状を論じます。具体的な数値や事例を盛り込むと説得力が増します。
【本論②】約300〜350字:核心的な論点の展開
テーマが問う論点(利点と課題・医療従事者に必要な資質など)を具体的に展開します。「医療従事者として」という視点を意識して論じましょう。
【結論】約150〜200字:主張のまとめと看護・保健への意志
序論の主張をあらためて確認し、自分が保健学科でどう学び・どんな医療従事者になりたいかという意志で締めくくります。
対策のスケジュールと優先順位
広島大学の総合型選抜(光り輝き入試)は11月中旬に試験が実施されます。出願書類の準備と並行して、小論文・面接の対策を進めましょう。
① 医療ニュースのインプットを習慣化する(〜9月)
オンライン診療・多様性と医療・高齢社会・医療人材不足・地域医療など、医療・保健に関する時事問題を週2〜3本読む習慣をつけましょう。課題文なしで書くテーマ型小論文は、知識のインプット量が直接得点に影響します。
② 自己推薦書を丁寧に仕上げ、内容を完全に把握する(8〜9月)
面接では自己推薦書の内容が深掘りされることが確実です。書いた内容はすべて「なぜそう思うのか」「具体的にはどういうことか」まで答えられるよう、書き上げた後も繰り返し内容を見直しておきましょう。
③ 小論文を実際に時間を計って書く(9〜10月)
90分・800〜1000字という条件で実際に書く練習を繰り返しましょう。書いた答案は先生や専門の指導者に添削してもらい、「論理の一貫性」「医療従事者としての視点の有無」「字数の配分」の3点を中心にフィードバックをもらいましょう。
④ 面接練習を本番さながらの環境で行う(10〜11月)
3名の面接者という形式を想定し、「志望動機・専攻への知識・自己アピール・自己推薦書への深掘り」の4軸をすべてカバーした練習を繰り返しましょう。声に出して答える練習をすることで、本番の緊張も和らぎます。
さいごに
ここまで、広島大学医学部保健学科の総合型選抜における小論文・面接の傾向と対策について解説してきました。
この入試の最大の特徴は、「医療従事者として考える視点」が小論文・面接のすべてに一貫して求められているという点です。課題文なしで自分の考えを800〜1000字で論じる小論文も、公式資料で評価基準が明示された面接も、どちらも「将来の医療従事者としての資質と思考力」を直接測る設計になっています。
日頃からの医療情報のインプット・自己推薦書の丁寧な作成・繰り返しの練習、この3つを地道に積み重ねることが合格への近道です。
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安井玲音
看護学部受験専門アイプラスアカデミー 専任講師。 出願書類(志望理由書)添削・小論文・面接指導を専門とし、年間1000本以上の添削を担当。 今年度、担当した全受講生を志望校合格へと導く。 単なる文章の添削ではなく、看護師としての適性を引き出し、採点官に響く「合格答案」の作成を徹底サポート。
【監修】松田 勇一(ディレクター) 朝日新聞グループ運営「マイベストプロ愛知」にて、厳正な審査を通過した教育の専門家。 本記事は、25年以上の大学受験指導キャリアを持つディレクター・松田の監修に基づき、最新の入試データと指導実績を反映して作成されています。
