今回は藤田医科大学 保健衛生学部看護学科の推薦入試対策として、過去問の解説と、解き方のポイントを基に入試対策を紹介いたします。
また、問題の特徴についても紹介しておりますので、同大学の同学科を目指す受験生必見の内容となっております。
目次
藤田医科大学 看護学科
推薦入試 小論文対策
こちらの記事では2025年度・2024年度の過去問を基に藤田医科大学看護学部の推薦入試の試験対策を紹介しております。
問題の概要
<出題形式>
英文読解+図表読み取り
<出題内容>
◎英文読解
・下線部の英訳
・空所補充(選択式)
・空所補充(語群選択・適切な形に変化)
・下線部内容の日本語記述
・下線部の指示語の内容説明
・語句整理
◎図表読み取り
・図1から読み取れる我が国の平均寿命と健康寿命の推移を、指定された文字数(200〜300字)で説明
・問1で読み取った推移を基に、2019年以降の予測と、それに伴い国民がどのような日常生活を送ることが望ましいか、自身の考えを指定された文字数(200〜300字)で記述する。
問題の特徴
小論文対策をするうえで押さえておきたいのが、問題の特徴です。
問題の特徴を知ることで、受験校に特化した対策をしていくことができます。
今回、紹介する藤田医科大学は基本的に「英文読解+図表読み取り」の形式で出題する傾向にあります。
解き方のポイント(取り組むにあたって)
藤田医科大学の試験の小論文試験は80分で2題を解いていきます。
そのため、下記の準備をしておきましょう。
・解答する問題の優先順位を決める
・英語の長文読解の練習を重ねておく
・図表の見方を知っておく
上記、準備をした状態で解答をしていきましょう。
藤田医科大学は80分の中で2題解く必要があるため、問題の優先順位を決めて時間を確保できるかが、得点を取るためには欠かせない要素になってきます。
第1問 英文読解型問題
英文読解型の特徴
今回紹介する藤田医科大学の小論文問題の形式である【英文読解型問題】は以下の特徴があります。
総合的な能力が求められる
英文読解型は単に英語の読解力だけでなく、与えられた英文の内容を正確に理解し、それに基づいて自分の考えを論理的に構築・表現する能力が問われます。つまり、語学力、読解力、思考力、表現力の全てが試されます。
多様な設問形式
和訳、内容説明、空所補充、要約、意見論述など、様々な形式の設問が出題される傾向があります。そのため、日本語の課題文型と比べると問題のパターンが豊富です。
文章構成力・創造力が求められる
英文の読解に加えて、小論文としての記述も行う必要があるため、限られた時間内で効率的に問題を解き進める時間配分能力が重要になります。
大問1 解き方のポイント
- 全文読解と内容把握
まずは英文全体を読み、筆者が何を伝えたいのか、中心となるテーマ(幸福について)と、その具体例や研究結果を把握します。段落ごとの要点をメモしながら読むと良いでしょう。 - 問1 (下線部英訳)
下線部(ア)「18年前、私がこの研究を始めたばかりの頃は」と(イ)「幸福は人気のある研究テーマです」を英語に直します。文脈に合った自然な英語表現を心がけましょう。
(ア) “When I first started doing research on this 18 years ago,”
(イ) “But today, happiness is a popular research topic.” - 問2 (空所補充 A〜C)
空所A、B、Cに最も適切な選択肢を選びます。
A: “When I first started doing research on this 18 years ago,” の後に続く内容として、”happiness was not considered a scientific topic” (幸福は科学的なテーマとは見なされていなかった) が適切です。これはその後の “These scientists traditionally helped people with depression or other mental illnesses.” という記述からも裏付けられます。
B: “As part of a growing field called positive psychology, 《 B 》, even if they don’t feel depressed to begin with.” の文脈から、ポジティブ心理学が「人々がうつ病でなくても気分を高める方法を見つけている」という内容が適切です。したがって、”more researchers are finding ways to boost people’s mood” が入ります。
C: “Extreme events, such as winning a lottery or being 【 い 】 in an accident, can cause temporary bursts of happiness or sadness. However, eventually, 《 C 》.” の文脈から、一時的な幸福や悲しみの後には「人々はいつもの感情状態に戻る」という内容が適切です。したがって、”people go back to their usual emotional state” が入ります。 - 問3 (空所補充 あ〜お)
語群から適切な単語を選び、必要に応じて形を変えて補充します。
あ: “they tend to あ that mood in their daily lives.” 文脈から「その気分を維持する」という意味の “maintain” が適切です。
い: “being 【 い 】 in an accident” 文脈から「事故で負傷する」という意味の “injured” (injureの過去分詞形) が適切です。
う: “About 10 percent of that 【 う 】 on external circumstances,” 文脈から「〜に依存する」という意味の “depends” (dependの三人称単数現在形) が適切です。
え: “The え 40 percent,” 文脈から「残りの」という意味の “remaining” (remainの現在分詞形) が適切です。
お: “if all their hopes and dreams お 】 true.” 文脈から「〜が現実になる」という意味の “came” (comeの過去形) が適切です。 - 問4 (下線部(ウ)の具体的な内容)
下線部(ウ)「The objective of this experiment was to find out whether expressing positively about the future or being thankful for the past could make someone happier.」 の内容を、指定された字数(15字、10字、15字)で日本語にまとめます。
1: 将来について肯定的に表現
2: 過去に感謝する
3: 誰かをより幸福にできるか - 問5 (下線部(エ)の具体的な内容)
下線部(エ)「only people who really wanted to be happier were able to make that happen.」 の”that”が指す内容を明確にして日本語に訳します。
「本当に幸福になりたいと願っていた人だけが、それを実現できた」→「本当に幸福になりたいと願っていた人だけが、より幸福になることを実現できた」 - 問6 (下線部(オ)の語句整序)
“The simple process of writing (オ) () () () ()()().” に続く語句を並べ替えます。
選択肢 (a) effect (b) people’s (c) no (d) had (e) happiness (f) on から、”had no effect on people’s happiness” (人々の幸福に効果がなかった) という意味になるように並べ替えます。
したがって、2番目:(d) had、4番目:(c) no、6番目:(f) on が解答となります。
英文読解型問題の対策について
英文読解型の対策
こちらでは、英文読解型小論文の対策方法に関して紹介していきます。
今後の受験勉強の参考にしていただければと思います。
英語力の基礎固め
語彙力の強化
英文の内容を正確に理解するために、幅広い分野の語彙、様々な英単語を習得することが重要です。特に、社会問題や科学技術に関するニュース記事、コラムなどを読み、関連する専門用語や頻出単語を覚えるようにしましょう。日本語記事を読む場合は「この言葉は英語では何と言うか」なども踏まえて読みましょう。
文法・構文の理解
複雑な英文でも正しく意味を把握できるよう、基本的な文法事項や構文をしっかりと復習します。特に、関係代名詞、分詞構文、仮定法など、複雑な文構造を理解できるように練習しましょう。
速読能力の向上
限られた時間内で長文を読み解く必要があるため、速読の練習も効果的です。時間を計って英文を読み、内容を把握する訓練を重ねましょう。
過去問演習
時間配分を意識した演習
実際の試験時間に合わせて過去問を解き、英文読解と小論文作成にどれくらいの時間をかけるべきか、自分に合った最適な時間配分を見つけましょう。
また、藤田医科大学は80分で2題の小論文を解かなければなりません。そのため、英文読解以外の問題の所要時間も意識して対策に取り組みましょう。
解答例との比較
過去問を解いた後は、解答例や採点基準と照らし合わせ、自分の弱点や改善点を把握します。
設問形式への慣れ
過去問や類似問題集を活用し、和訳、要約、空所補充、意見論述など、様々な形式の設問に対応できるように練習します。特に、字数制限のある問題では、簡潔かつ的確に表現する練習が重要です。
これらの対策を継続的に行うことで、英文読解力、思考力、表現力を総合的に高め、英文読解が伴う小論文試験で高得点を目指せるようになるでしょう。
第2問 図表読み取り型問題
図表読み取り型の特徴
今回紹介する藤田医科大学の小論文問題の形式である【図表読み取り型問題】は以下の特徴があります。
情報の多角性
グラフや表は単一の情報源ではなく、複数の要素(例:年代別、時系列、目的別など)が組み合わされており、それぞれが異なる視点を提供しています 。これらの情報を総合的に理解する能力が求められます。
視覚的な情報掲示
文字情報だけでなく、数字や棒、線などの視覚的な要素を通じてデータが提示されるため、視覚情報を正確に読み取るスキルが必要です 。
情報整理の必要性
提示された情報はそのまま使うのではなく、自分の中で関連付け、整理し、論理的な思考の材料とする必要があります。
客観性と主観性のバランス
図表から読み取れる「客観的な事実」と、その事実に基づいて導き出される「主観的な考察や意見」の両方をバランス良く記述することが求められます。単なるデータの説明で終わってはならず、データから何を考え、何を主張するかが重要です。
テーマの多様性
社会問題、経済、科学、医療など、様々な分野のデータが題材となり得ます。そのため、幅広い分野への関心と基礎知識が役立ちます。
大問2 解き方のポイント
図表読み取り型問題は課題文型のようにヒントとなる情報を見つけにくい問題形式になります。
ここでは、図表読み取り型の解き方のポイントを各設問ごとに紹介していきます。
設問1 (推移の説明) – グラフの形状から傾向を読み取る
- 基本的な傾向の記述
男女ともに平均寿命、健康寿命が一貫して延伸していることを述べます。これは、医療技術の進歩、公衆衛生の改善、国民の健康意識の向上などが背景にあることを示唆します。 - 両者の差に注目
平均寿命と健康寿命の間には必ず差があることを指摘します。この差は、「不健康な期間」、つまり日常生活に制限がある期間を示しています。
この差が拡大傾向にあるのか、縮小傾向にあるのかを具体的に述べることが重要です。厚生労働省のデータでは、平均寿命の伸びに対して健康寿命の伸びが大きく、両者の差が縮まる傾向にあることが示されることが多いです。この点を記述することで、単なる長寿化だけでなく、健康な期間も延伸しているという日本の現状を説明できます。 - 具体的な年代や数値(もしグラフに記載があれば)
もしグラフに具体的な年代ごとの数値が示されていれば、「〇〇年から〇〇年にかけて、平均寿命は〇歳から〇歳へ、健康寿命は〇歳から〇歳へと推移した」のように、具体的な数値を引用して説明することで、より説得力が増します。ただし、今回はグラフが省略されているため、一般的な傾向を述べるに留めます。 - 文字数調整
200~300字の範囲で、上記の要素を盛り込みつつ、簡潔かつ論理的にまとめます。
問2 (要因と課題の推察) – グラフから見えない背景と将来への影響を考察する
- 2019年以降の予測
問1で示した「平均寿命・健康寿命の延伸傾向」と「両者の差の縮小傾向」が今後も継続すると予測するのが最も自然かつ論理的です。
「超高齢社会」のさらなる進展を背景に、医療費や介護費の増加抑制のためにも、国として健康寿命の更なる延伸が重要な政策目標となっていることにも触れられると、社会的な視点があることを示せます。 - 国民の望ましい日常生活(具体的な提言)
健康寿命を延ばし、質の高い生活を送るために、国民一人ひとりが主体的にどのような行動をとるべきかを具体的に提案します。 - 具体的な行動の例
生活習慣の改善:
バランスの取れた食事、適度な運動(例:ウォーキング、体操)、十分な睡眠の確保。
疾病予防と早期発見:
定期的な健康診断、特定健診・がん検診の積極的受診、予防接種の励行。
社会参加と精神的健康:
地域活動や趣味への参加、多様な人との交流を通じて、精神的な健康と生きがいを維持すること。
心の健康: ストレスの適切な管理、心の不調を感じた際の早期相談。
生涯学習: 新しい知識や技能の習得を通じて、認知機能の維持・向上を図ること。
適切な医療機関との連携: かかりつけ医や薬剤師との連携を通じて、日常的な健康相談や適切な情報収集を行うこと。
→これらの行動が、どのように「日常生活に制限のない期間」の延伸につながるのか、その意義まで含めて記述すると、説得力が増します。 - 自身の考えの明確化
「〜と考える」「〜が望ましい」といった表現を適切に用いて、自身の提言であることを明確にします。 - 文字数
200~300字の範囲で、予測と具体的な提言をバランスよくまとめます。
図表読み取り型の対策について
図表読み取り型問題の対策
図表の「正確な」読解力を鍛える
多様な図表形式になれる
棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、帯グラフ、散布図、レーダーチャート、複合グラフ、表など、様々な形式の図表の読み方を習得します。それぞれの形式がどのような情報の提示に適しているかを理解することが図表読み取り問題では最も重要です。
「5W1H」で情報を整理する習慣
・When (いつ): 期間、年次、時点など。
・Where (どこで): 対象地域、国など。
・Who/What (誰が/何が): 対象となるデータ項目(例:出生数、合計特殊出生率、肥満者の割合、基礎代謝、筋肉変化率)。
・How much/many (どのくらい): 数値、割合、単位(例:万人、%、kcal/日)。
・How (どのように): データの推移(増加、減少、横ばい、変動)や分布。
凡例と軸を確認する
グラフの棒や線が何を示しているのか(凡例)、縦軸と横軸がそれぞれ何を表し、単位は何なのか(軸)を最初に確認する習慣をつけます。これを怠ると、全く異なる解釈をしてしまう可能性があります。
数値の「絶対値」と「変化率」の両方に注目する
・絶対値: 特定の時点での具体的な数値。
・変化率: ある期間における増減の割合や、前年比、基準値からの変化(例:〇〇%減少、〇〇倍増加)。
複数の図表間の関連性を見つける練習
複数の図表が提示される場合、それぞれが独立した情報ではなく、何らかの関連性を持っていることがほとんどです。例えば、肥満者の割合と基礎代謝、筋肉変化率のグラフが提示された場合、これらがどのように互いに関連しているのかを考えながら読み解きます。
限られた字数内での「効果的な」表現力を磨く
要約力を鍛える
図表から得られる情報は膨大になりがちです。その中から設問の意図に沿った最も重要な情報を抽出し、簡潔にまとめる練習をします。冗長な表現や重複を避けます。
キーワードの活用
図表のテーマに関連する専門用語やキーワード(例:少子化、高齢化、合計特殊出生率、基礎代謝、生活習慣病など)を適切に使用することで、内容に深みと説得力が増します。
これらの対策を継続的に行い、図表読み取り型の小論文問題への対応力を伸ばしていきましょう。

