【小論文対策】小論文のパターンについて

【小論文対策】小論文のパターンについて

現在、多くの看護学部・看護専門学校の推薦入試・総合型選抜で採用される試験科目に小論文があります。ただ、小論文は普通科目のような明確な正解がなく、受験生からは「対策が難しい」という声がよく挙がっています。
今回は、看護系入試を専門に指導を行うアイプラスアカデミーだからお伝えできる小論文対策をご紹介していきます。今回は小論文の【出題形式】【形式別の対策】の観点から小論文対策を紹介していきますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです!

小論文の出題形式

小論文には大きく分けて3つの出題形式があります。

テーマ型
課題文読解型
資料分析型

上記の3つに分けられることが多いです。
もし、受験する看護学部・看護専門学校の過去問が手元にある場合は、上記3つのどれに該当するか見てみましょう。

テーマ型

テーマ型は与えられたテーマに対して自分の意見を述べる形式

例)〇〇について△△字程度であなたの考えを述べなさい

テーマ型は受験する看護学部・看護専門学校によっては、受験者の価値観を問う形式であったり、医療分野に対して意見を述べるなど様々あります。
一例として、東京都立看護専門学校の令和7年度推薦入試では以下のようなテーマで出題されました。

「信頼関係を築くために必要なこと」について、体験を踏まえたあなたの考えを800字程度で述べなさい。(令和7年度都立看護専門学校推薦入試)

課題文読解型

小論文の問題に記載がある課題文を読んで、課題文の要約をしたり、自身の意見を述べて、問題を解いていく形式

例)著者が伝えたいことを○○字程度で要約し、課題文の下線部についてあなたの考えを、要約を含めて△△字程度で述べなさい。

大学によっては、課題文を英文で出題している学校もあります。
そのため、自身の受験する学校が日本語での課題文読解か、英語での課題文読解なのか事前に把握をしておくと、小論文対策+英語の長文読解の対策が必要かどうかも考えることができます。

資料分析型

グラフや表などの資料を読み取り、自分の意見を述べる形式

例)○○に関して資料を参考にして、あなたの考えを△△字で述べなさい。

主に上記3パターンのうちのどれか、組み合わせたものが多く出題される傾向にあります。
また、学校によっては過去問を確認することで、3つのうちからどの形式が使用されるのか、傾向も把握ができるので今後の対策のために、形式は覚えておくと良いでしょう。

小論文試験で出題されるカテゴリー

出題のカテゴリーに関しては学校ごとに異なりますが、看護学部・看護専門学校の小論文試験では以下のようなカテゴリーの問題が出題される傾向にあります。

看護・医療分野

このカテゴリーは看護学校の受験では最もよく挙げられるカテゴリーです。
受験生の看護の考え方を問うものから、看護や医療に関しての知識を必要とするものまでと内容は様々です。時事問題や社会問題と組み合わせて出されることもあります。

価値観・考え方

こちらは主に受験者の経験や価値観に関することに触れていきます。
上記の形式に関しては、テーマ型の小論文で触れられやすい傾向の出題形式です。
また、個人としての考え方ではなく「医療従事者・看護師」としての価値観や考え方を問うこともあります。

時事問題・社会問題

小論文を受けるうえで抑えておきたいのが時事問題や社会問題に関してです。また、時事問題や社会問題に関しては看護・医療に紐づいたテーマでの出題も大いにあり得るので、ニュースや新聞などで日常的にチェックをしておきましょう。

他者との関わり

「職場におけるチームワークの大切さ」「思いやりについて」「円滑に仕事を行うには」など人との関わり方について問われるものもあります。
看護の仕事は看護師以外にも医師や患者、患者の家族など様々な人と関わる仕事になるため、人との関わりも看護師としての適性を測るものになるため、人との関わり方についても抑えておきましょう。

上記のようなカテゴリーに分かれていることが多いです。
そのため、志望校がどのようなカテゴリーの問題を例年出題しているのかを把握しておくことも受験対策の一つになります。

出題形式ごとの小論文対策

ここでは【テーマ型】【課題文型】【資料分析型】それぞれの出題形式に合わせた、おすすめの対策方法をご紹介いたします。
出題形式ごとの対策をして、明確かつ効率的な小論文対策をしていきましょう。

テーマ型

テーマ型は小論文の中でも比較的、内容作りの自由度が高い出題形式です。
自由度が高い反面、自分自身で論点を設定して、自分自身で情報を出して論拠をつけていくことが必要な形式になるため、論理的な思考力や基本的な文章構成力が重視されます。
ここでは、テーマ型小論文の対策方法について紹介をしていきます。

ステップ 1:知識のインプット(テーマの理解)

テーマ型小論文は、特定の社会問題や専門分野に関する意見を問われます。まずはテーマの背景知識を固めましょう。

対策内容目的具体的な方法
頻出テーマの整理看護系で出やすいテーマの現状と課題を把握する。【頻出テーマ例】 終末期医療、地域医療(医師偏在)、AIと医療、多職種連携、超高齢社会、医療費増大など。
キーワードの理解テーマに関する専門用語の意味を正確に理解する。「インフォームド・コンセント」「アドバンス・ケア・プランニング」「QOL」「地域包括ケアシステム」などの定義を自分の言葉で説明できるようにする。
多角的視点の収集問題に対する異なる意見や、解決策の事例を知る。新聞やニュースの社説、看護・医療系の専門誌などを読み、賛否両論や事例をインプットする。

ステップ 2:思考力の訓練(自分の意見の確立)

知識をインプットするだけでなく、「あなたはどう考えるか」という独自の視点と論理を構築する訓練が必要です。

  • 「なぜ?」の深掘り: 提示されたテーマに対し、「なぜそうなるのか?」「解決策は何か?」「看護師として何ができるか?」と**「なぜ?」を最低3回**繰り返して問い、表面的な理解で終わらせない。
  • 対立意見の想定: 自分の主張の反対意見を想定し、「しかし、それでも私の主張が正しい」という反論の論理を準備しておく(多角的な視点を示す)。
  • 看護への結びつけ: どんなテーマでも最終的に「その問題に対し、看護師は具体的にどう行動すべきか」という看護観に結びつける思考を習慣化する。

ステップ 3:構成力と表現力の習得

考えた内容を、制限時間内に採点官に伝わる形にアウトプットする技術を身につけます。

  • 構成の型を徹底: 序論(結論と問題提起)→本論(理由と具体例)→結論(主張の再確認と抱負) の三部構成を必ず守る(PREP法を意識する)。
  • 構成メモの訓練: 制限時間のうち最初の10〜15分間で、文章の骨格となる「結論」「理由」「具体例」のキーワードをメモする訓練を徹底する。
  • 時間制限演習: 志望校の過去問や類題を用いて、制限時間内に指定文字数で書き上げる練習を繰り返す。特に、誤字脱字チェックの時間(最後の5分)を確保する習慣をつける。
  • 添削の依頼: 学校の先生や予備校の講師など、第三者による添削を必ず受け、「採点官に伝わる論理か」 をチェックしてもらう。

課題文読解型

課題文読解型小論文は、特定のテーマについて意見を述べる前に、提示された文章(課題文)を正確に読み解き、その内容を踏まえて論述する形式です。この形式は、読解力と論理的思考力を同時に測るため、看護系入試でも非常に多く採用されています

ステップ 1:読解技術の習得(本文分析)

課題文読解型は、出題の意図がすべて課題文の中に隠されています。

対策内容目的具体的な方法
主張の特定課題文の筆者が最も言いたいこと(結論) を明確に特定する。接続詞(「しかし」「つまり」「したがって」)や、筆者の強い断定表現(「〜べきである」「〜にほかならない」)に印をつけ、結論の根拠を抽出する。
キータームの抽出課題文中で定義されている専門用語や重要語句を正確に理解する。看護系なら「共感」「主体性」「インフォームド・コンセント」など、筆者が特別に意味を込めている語句を抜き出し、その定義をメモする。
段落ごとの要点把握課題文の論理展開をトレースし、要約の準備をする。各段落の冒頭や末尾を読み、「この段落は何を述べているか」 を簡潔な一文でメモし、文章全体の論理構造図を作成する。

ステップ 2:設問の意図把握とテーマ抽出

課題文を読み終わったら、すぐに書き始めるのではなく、「何を求められているか」を明確にします。

  • 設問の分類: 設問が「課題文を要約せよ」なのか、「課題文を踏まえて意見を述べよ」なのか、「課題文の主張に賛成・反対の立場を述べよ」なのかを判断する。
  • テーマの特定: 課題文の抽象的な内容から、出題者が受験生に意見を求めている具体的なテーマ(例:課題文の事例を通して見た「患者の権利」について)を特定する。
  • 本文との連携: 意見を述べる場合も、必ず「課題文の〇〇という記述を踏まえて」 と、本文の内容に言及する形で論を組み立てることを意識する。

ステップ 3:構成力と論述の技術

課題文を踏まえた自分の意見を、論理的に構成する技術です。

  • 本論の二段階構成:
    1. 課題文の要約・意見: 課題文の主張を簡潔にまとめ、それに対する自分の結論(賛成・反対など) を述べる。
    2. 自己の論証: 自分の結論を裏付ける具体的な根拠や体験を、課題文の内容と関連づけながら展開する。
  • 時間配分の厳守: 課題文読解型では、「読む時間」 に時間を割く必要があります。
    • 読む(40%): 課題文の読解と分析、メモ取り。
    • 構成(20%): 骨子の作成。
    • 執筆(30%): 実際に原稿用紙に記述。
    • 推敲(10%): 誤字脱字の確認。
  • 実践演習: 制限時間内で**「課題文の分析」と「自分の意見の論述」** を両立させる訓練を繰り返し、時間内に指定文字数で完成させることを徹底する。

課題文読解型は、「本文を正確に理解した上でなければ、どれだけ良い意見を書いても評価されない」 という厳しさがあります。まずは、本文の主張を抜き出す練習から始めましょう。

資料分析型

資料分析型小論文は、図表、グラフ、統計データ、簡単な資料などが提示され、それらを読み解きながら、設問で問われたテーマについて論述する形式です。この形式は、客観的なデータを根拠に論を進める能力、つまり**「情報処理能力」と「論理的思考力」** を測るのに最適であり、科学的根拠を重視する看護系入試と非常に相性が良いです。

ステップ 1:資料の正確な分析技術の習得

資料分析型は、データ解釈のミスが致命傷になります。以下の分析を徹底しましょう。

対策内容目的具体的な方法
タイトル・単位の確認資料が何を、いつの時点で示しているかという前提を理解する。グラフや表のタイトル、縦軸・横軸の単位、出典元、調査時期を最初に確認し、何が比較されているかを把握する。
極端な値の抽出資料の傾向を掴み、論の根拠となる材料を見つける。「最大値・最小値」(どこが最も高いか低いか)、「急激な変化」(なぜこの期間に数値が跳ね上がったか)、「比較対象との差」(AとBの差は何か)を具体的に数値でメモする。
資料の要約資料が示す「結論」 を、自分の言葉で簡潔にまとめる。データから読み取れる事柄を、「〇〇という現状を示す資料」といった形で一文にまとめ、文章構成に活かす。

ステップ 2:設問とデータの連携

設問は、単なるデータの要約を求めているわけではありません。データが示す**「背景にある社会的な課題」** まで考察することが求められます。

  • 設問の意図把握: 設問が「資料から読み取れること」を問うのか、「資料の現状を改善するための提案」を問うのかを明確にする。
  • テーマの特定: データが示す現象(例:〇〇の増加傾向)から、その背景にある看護や医療に関する課題(例:介護人材の不足、地域格差など)を抽出する。
  • データと意見の紐づけ: 自分の主張や提案を述べる際には、「資料1の数値が示すように…」 と必ずデータに言及し、客観的な根拠を示す。

ステップ 3:構成と論述の技術

データの解釈と自分の意見を論理的に統合した文章を構築します。

  • 序論の明確化:
    1. 資料の簡単な要約: 「提示された資料は、〇〇という現状を示している」と簡潔に述べる。
    2. 自分の主張: 「この現状を踏まえ、私は〇〇という課題解決策が最も重要だと考える」と、結論を明確に述べる。
  • 本論の構成:
    1. 資料の分析: 抽出した具体的な数値(例:「特に2020年から2025年にかけて、Aの値がBの値を〇〇%上回っている」)を提示する。
    2. 原因の考察: なぜその数値になったのかという背景にある原因を考察する。
    3. 看護職としての提言: その課題に対して、看護師として具体的にどう介入すべきかを提案する。
  • 時間配分の厳守: 制限時間内で「資料分析」と「論述」 のバランスを取るため、資料の分析には全体の約3割の時間を割くよう訓練する。

資料分析型小論文は、「客観的な事実(データ)」を「論理的な思考の道具」 として活用する能力を測る試験です。データから目を離さず、論を進める練習を重ねましょう。

さいごに

最後まで読んでいただきありがとうございました。
受験の中でも小論文は明確な正解がなく、学校での対策も「難しい」と言われがちな試験科目です。また、普通科目のように解答解説を見たりして学べるものではないため、自分一人で学習を進めるのも一苦労なものです。
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