名古屋市立大学看護学部 前期一般入試 小論文対策

名古屋市立大学看護学部 前期一般入試 小論文対策

名古屋市立大学看護学部
前期一般入試 小論文対策

今回は名古屋市立大学 前期一般入試の小論文対策として、入試過去問の解説と、解き方のポイントを紹介いたします。
また、問題の特徴についても紹介しておりますので、看護学部の入試で小論文がある方は必見の内容となっております。

問題の概要

<出題形式>
課題文型

<出題内容>
◎漢字読み取り・書き取り
◎内容説明問題
◎意見論述

問題の特徴

名古屋市立大学は、例年「漢字読み書き→内容説明→意見論述」の流れの出題形式になります。
主に扱われるテーマは人文・社会・倫理・哲学など幅広いジャンルから出題されているため、他の看護系大学のように医療や福祉、生命科学以外にも幅広い知見が要求されます。

名古屋市立大学の小論文攻略に必要な3つの力

難しいテーマを読み解く力

求められる力と理由

筆者が言いたいことを正確につかむ 【理由】 この小論文は、「人間の生き方」や「社会のルール」など、少し難しい文章から出ることが多いです。たとえ話や専門用語が多くても、「結局、筆者は何を一番伝えたいのか?」という中心の考え(主張)を読み取れないと、後の問題(要約や意見)で答えがずれてしまいます。比喩と、その裏にある本当のメッセージを見抜く練習が必要です。

具体的な対策

  • 文章を読むとき、「しかし」「したがって」といった大事な言葉(接続詞)や、指示語(「これ」「それ」)が何を指しているかを線で結びながら確認する習慣をつけましょう。
  • 文章全体を読み終わったら、自分で筆者の主張を「〇〇について、〇〇と考えるべきだ」という形にまとめてみる練習をしましょう。

決められた字数でまとめる力

求められる力と理由

聞かれたことだけを、字数ぴったりに書く 【理由】 途中の問題(問3〜問5の前半)では、「60字以内」「120字以内」など、字数が厳しく決められています。自分の意見ではなく、文章に書かれていることだけを、字数を守って正確に説明する力が求められます。字数が少しでも足りなかったり、多すぎたりすると、減点の原因になります。

具体的な対策

  • 説明に必要なキーワードをまず箇条書きでメモし、その後、キーワードを入れつつ文章として滑らかになるように調整する練習をしましょう。
  • 特に比喩表現が出てきたら、それが「何を」と「どういう状態」に例えているのかを、わかりやすい言葉に直して書き出す訓練をしましょう。

自分の考えを筋道立てて書く力

求められる力と理由

説得力のある「あなたの考え」を示す 【理由】 最後の問題(500字程度の長文)は、「筆者の主張に賛成・反対し、あなたの具体的な体験を交えて意見を述べよ」という構成が求められます。文章のテーマから話がずれてしまったり、単なる感想で終わってしまったりすると評価されません。最初に結論を述べ、その理由を自分のエピソードや知識でしっかり支えることが大切です。

具体的な対策

  • 論述は【導入(筆者の主張に触れる)】→【本論(自分の意見と具体例)】→【結論(全体のまとめ)】の3部構成を意識しましょう。
  • 意見を述べたら、必ず「なぜなら、私の経験では…」というように、具体的なエピソードや世の中の出来事を例として加えるようにしましょう。

名古屋市立大学看護学部 2024年度 小論文解説

1. 問題の概要

【出題文章とテーマ】
フランスの哲学者、アランの『幸福論』からの抜粋。テーマは「主体的行動の意義」と「運命論の否定」です。筆者は、過去や環境に囚われず、現在の意志と努力こそが人生を方向づけると主張しています。

【問題構成】

  • 問1:漢字の読み書き(基礎的な語彙力)
  • 問2〜問4:傍線部の内容を正確に説明・要約(読解力、字数厳守が必須)
  • 問5(後半):筆者の主張を踏まえた論述(最重要、500字以内)

2. 解き方のポイント

1. 難しい例え(比喩)を「わかりやすく」する
文章に出てくる「馬と馭者(ぎょしゃ)」や「船の舵」といった例えが、何を意味しているか(例:「馬=気持ちや衝動」、「馭者=理性・意志」)を理解し、具体的な行動に置き換えて考えます。これが理解できないと、全文の主張を見失います。

2. 「宿命論」と「現在の意志」の対比構造を明確にする
筆者の論理の中心は「運命や過去の失敗(宿命論)を言い訳にするな」と「今の行動こそが全て(意志論)」の対比です。問5の論述では、この筆者の主張を核として、自分の考えを展開する必要があります。

3. 解答解説(問1〜問5)

問1・問2:基礎知識問題

  • 問1 漢字: 服従、推進力、詮索、拘束、偉大、嘆く、欠陥、醜態、愛想、奮起。
  • 問2 タイトル (5文字): 幸福論 (または 出発、意欲)。

問3:内容説明(60字以内) 傍線部①「自然の賜をしっかりと握って、容易な生活を困難な生活となす」

生まれ持った才能や恵まれた環境に甘んじず、むしろそれを土台にして、あえて困難な目標や試練を自身に課し、努力すること。(58字)

問4:内容説明(120字以内) 傍線部②「こういう有害な観念は、子どものころにはあまり影響はないが、あとになってから害をおよぼす。」

運命は決まっているという宿命論は、子どもの頃は本能的な行動力が勝るため害はない。しかし、大人になって困難に直面した際、それを運命のせいにし、今の努力を怠るための言い訳として機能することで、弱者を生み出し害を及ぼすということ。(119字)

問5(前半):文章全体の内容要約(60字以内) 筆者が述べたかったこと

わたしたちは過去や運命に拘束されず、意志による現在の行動と努力こそが、人生を方向づけ、運を良くする唯一の手段である。(60字)

4. 対策ポイント / 5. 論述問題の文章構成

【対策ポイント】抽象的なテーマへの慣れ 本問のような哲学・倫理系の評論は、抽象的なテーマを具体的な比喩で論じるため難解です。日頃から新聞の社説や現代文(評論)の対策を並行し、論理展開のパターンを学ぶことが、読解力向上に直結します。

【問5 後半 500字論述の構成ステップ】

  • 導入(あなたの結論): 筆者の「いつでも奮起するのに遅すぎることはない」という言葉に賛成(または反対)であることを明確に宣言する。(約100字)
  • 本論(具体的な経験): 筆者の主張を裏付ける、あなたが過去の失敗や環境に負けず「今」から行動を変えた具体的エピソードを詳細に述べる。(約300字)
  • 結論(抱負とまとめ): 本論の内容を踏まえ、その「今を生きる姿勢」が、将来看護師としてどのように役立つか、抱負を述べて締めくくる。(約100字)

小論文対策 4ステップ

STEP 1:小論文の「型」と基本ルールの習得

まず、論理的な文章の書き方(型)と、原稿用紙などの基本的なルールをしっかり学びます。

  • 文章を正確に読み取る力:筆者の「一番言いたいこと」とその「理由」をしっかりつかみ、文章全体の「流れ」(始め・中・終わり)を意識して読みます。
  • 小論文の「型」を身につける:最初に結論(主張)、次にその理由や具体的な例、最後にまとめ、という3つのブロックの書き方を完璧にします。

STEP 2:頻出テーマと知識のインプット

よく出るテーマの知識といろいろな見方を知り、自分の意見を裏付ける説得力のある理由を用意します。

  • 志望学部(看護)のテーマ把握:看護学部関連テーマ(医療倫理、AI、チーム医療など)で話し合うべきテーマ(論点)とキーワード(QOL、アドボカシー等)を理解します。
  • 情報源からの知識仕入れ:新聞の社説や専門書を読み、自分の意見の裏付けとなる知識や実体験を整理してメモしておきます。

STEP 3:実際に書く練習と添削指導

「型」と知識を使って小論文を書き、先生や塾の講師によるチェックで、客観的な評価と直すべき点を知ります。

  • 時間を意識したアウトプット:試験時間(90分)を意識し、時間内に完成させる訓練を繰り返します。最初に構成メモを作る時間を確保します。
  • 添削を受けて直す習慣をつける:第三者に添削を依頼し、指摘され「話のつながりがおかしい点」や「字数制限」を守れているかを次の練習で必ず直します。

STEP 4:志望校の過去問演習と分析 (実戦へ)

いよいよ志望校の過去問に取り組み、実戦形式での慣れと、大学の出題傾向や評価基準の分析を徹底します。

  • 過去問の徹底的な分析と実戦演習:過去数年分を解き、「筆者の主張を踏まえた論述」形式に特化して対策します。本番と同じ時間・環境で解き、時間配分を体感的に把握します。
  • 過去問の自己評価と再添削:解いた過去問を自分でチェックし、さらに先生や講師に添削を依頼して、志望校のレベルに合わせた最終的な調整を行います。

解き方のポイント(問題をもとに)

1. 難しい例え(比喩)を「わかりやすく」する
文章に出てくる「馬と馭者(ぎょしゃ)」や「船の舵」といった例えが、何を意味しているか(例:「馬=気持ちや衝動」、「馭者=理性」)を理解し、具体的な行動に置き換えて考えます。

2. 「過去」と「今」の対比を明確にする
筆者は「過去を悔やむこと」や「昔の実績を頼ること」を否定し、「いつでもやる気を出すのに遅すぎることはない」と、現在の努力を強調しています。この対比の流れを理解することで、あなたが書く意見の方向性が決まります。

さいごに

ここまで、記事をご覧いただきありがとうございました。
今回は名古屋市立大学の過去問解説を交えて、小論文対策の方法を紹介いたしました。
ただ、試験問題については年度ごとに変わっていくこともあるため、いろんなパターンの小論文には触れておきましょう。

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