今回は摂南大学の小論文試験の対策として、入試過去問の解説と、解き方のポイントを紹介いたします。
また、問題の特徴についても紹介しておりますので、看護学部の入試で小論文がある方は必見の内容となっております。
目次
摂南大学 看護学部
総合選抜型入試 小論文対策
問題の概要
<出題形式>
課題文読解
<出題内容>
◎課題文読解
・課題読解を元にした論述(600字以内)
問題の特徴
摂南大学、図表読み取り形式の問題を出しております。
過去3年間の問題から見る傾向として、医療に関して自身の考えを述べる形が問題の特徴になっております。
解き方のポイント(取り組むにあたって)
2025年度入試の問題では課題文を元に自身の考えを600字以内で述べます。
また、課題文を理解する力と医療業界に対しての知識や自身の考えを持っておくことが問題を解くうえで重要になってきます。
・文章を正確に読み解く力
・文章を元に自身の考えを述べる言語化能力
・医療業界への関心・意欲・知識
上記の力を身につけたうえで解いていく必要があります。
課題文型問題について
課題文型の特徴
今回紹介する摂南大学の小論文問題の形式である【課題文型】は以下の特徴があります。
課題文の正確な読み取り
まず、出題時に提示される文章(課題文)の内容を正確に理解する必要があります。この課題文は、特定のテーマや筆者の主張、データなどが含まれていることが多く、その内容を読み解く力、つまり読解力が問われます。
論点の把握と要約
課題文の内容をただ読むだけでなく、その中心的なテーマや筆者の主張を正確に捉え、要約する能力も求められます。設問には、「課題文の要点をまとめよ」といった指示が含まれることもあります。今回の資料の場合、課題文は「いのちの終わり」における医療・ケアに関する内容であり、筆者の主張や問題意識を把握することが重要となります 。
自分の意見との関連付け
課題文で提示された内容を踏まえた上で、自分の考えや意見を述べる必要があります。単に課題文を要約するだけでは不十分です。課題文の内容を自分の意見の「出発点」として、賛成・反対の立場を明確にしたり、関連する具体例を挙げたりして、論を展開することが重要です。今回紹介している問題では、「『患者にとっての最善』とはどのようなことかをふまえ、あなたが看護師であったらどのようにかかわろうと思うか、あなたの考えを600字以内で述べなさい」とあり、課題文で提起されたテーマに対する自分の考えを述べる形式になっています 。
専門知識よりも論理的思考
課題文は、高校生が理解できる程度の内容であることがほとんどです。そのため、特定の専門知識があるかどうかよりも、課題文を論理的に読み解き、それに基づいて自分の考えを論理的に組み立て、説得力のある文章を書くことができるかが評価されます。今回の課題文も、人生の最終段階における医療・ケアという、専門知識がなくても考えられるテーマを扱っており、論理的な思考力を測る目的があると考えられます 。
第1問 解き方のポイント
今回紹介している摂南大学の課題文型小論文は、文中の情報を元にしながら自身の考えを展開していきます。
ここではどのようにして問題を解いていくのかのポイントをご紹介していきます。
設問の正確な把握
まず、設問を正確に読み解くことが最も重要です。
設問は「『患者にとっての最善』とはどのようなことかをふまえ、あなたが看護師であったらどのようにかかわろうと思うか、あなたの考えを600字以内で述べなさい。」です。
今回の設問では、大きく2つのパートに分かれています。
- 「患者にとっての最善」とはどのようなことか
- その考えを踏まえて、看護師としてどう関わるか
上記の2つの要素を両方とも記述する必要があります。
どちらか、片方を答えるだけでは答えにはならないため、両方の答えを記述しておきましょう。
課題文の読解と要約
次に、課題文を丁寧に読み解き、論点を整理します。
課題文では、人生の最終段階における医療・ケアについて、以下のような内容が書かれています。
・多くの人が人生の最期をどう過ごすか考え始めている。
・しかし、どこでどのような医療・ケアを受けたいかについては、あまり考えられていない。
・「家族のいいようにしてほしい」と考える人が多いが、家族は「できることは何でもしてあげたい」と考えがちである。
・その結果、「医学的な最善」が「患者にとっての最善」と食い違い、患者が望まない医療が行われてしまう可能性がある。
この課題文から、「患者にとっての最善」とは、「医学的な最善」や「家族の希望」と必ずしも一致するわけではなく、患者自身の意思や価値観に基づくものである、という筆者の問題意識を読み取ることができます。
小論文の構成
上記のポイントを踏まえて、以下のような構成で説得力ある小論文を作成しましょう。
序論(100字程度)
- 課題文のテーマ(人生の最終段階における医療・ケア)に触れる
- 筆者が提起している問題点(「医学的な最善」と「患者にとっての最前線」のずれ)に言及する。
本論①:「患者にとっての最善」について(200字程度)
- 「患者にとっての最善」とは、単に生命を維持するための医療ではなく、その人が大切にしている価値観や尊厳が守られることであると定義する。
- 具体的には、どのような生活を送りたいか、どのような場所で過ごしたいか、痛みや苦痛をどう感じているかなど、患者自身の内面的な声に耳を傾けることの重要性を述べる。
看護師としての関わり方について(250字程度)
- 上記の「患者にとっての最善」の定義を踏まえ、具体的な看護師としての行動を述べる。
- 例としては以下のような点を挙げることができる
・患者との信頼関係を築き、本音で話せるような関係性を構築する。
・患者本人が自分の意思を表 - 明できるように、丁寧にコミュニケーションをとる。
・患者だけでなく、家族の気持ちにも寄り添い、患者の意思を家族が理解できるようにサポートする。
・多職種(医師、ソーシャルワーカーなど)と連携し、患者の意思が医療・ケアに反映されるよう調整する。
結論(50字程度)
- 看護師は、患者の意思決定を支援し、その人らしい生き方を最後まで支える存在であるという決意を述べて締めくくる。
この構成に沿って記述することで、課題文の内容を深く理解していること、そしてそれを踏まえた独自の看護観を持っていることを示すことができます。文字数は目安ですので、全体のバランスを見ながら調整してください。
課題型小論文の対策について
課題型小論文の対策
こちらでは、課題文型小論文の対策方法に関して紹介をしております。
現代文の問題演習
課題文型では文章を素早く正確に読み取る力が求められます。
そのため、現代文の問題演習を通じて、筆者の主張や文章の構造を把握する練習をしましょう。キーワードや論理の展開に注目する習慣をつけることが、小論文の課題文読解に直結します。
筆者の主張を見抜く
文章には特徴があります。そのため、何が筆者の主張を指しているのかなどの、課題文型で共通しているキーワードを覚えておきましょう。
<ポイント>
「つまり〜」「〜と言える」といった、筆者の主張をまとめた部分や、段落の冒頭・末尾に注目して読む癖をつけましょう。
論点を捉える
課題文の中には必ず、筆者の考えや主張があります。論述問題は、その情報をもとに自身の意見を書いていくもになるため的確に論点を捉える練習をしましょう。
<ポイント>
自分の意見を述べる際には、「なぜそう思うのか」という理由を必ず明確にし、客観的な根拠や具体例を付け加える練習をしましょう。
さまざまなテーマの文章を読む
看護系の学部を受験するからといって、必ずしも医療系のテーマが出るとは限りません。
学校によってはSNSの利用やAIの活用方法、女性の社会進出など、さまざまなテーマの課題文が出るため、日頃から様々な分野の文章に触れておくことで、どんな課題文が来ても対応ができるようになります。
課題文型は、読解力と論理的な思考力を同時に測る形式です。過去問を繰り返し解き、添削してもらうことで、着実に力をつけることができます。

