岐阜大学看護学科の推薦入試(学校推薦型選抜)では、小論文で「問題1・問題2」の大問2題が課されます。
問題1は日本語の課題文を読んで答える課題文型、問題2は英文を読んで日本語で答える英文読解型という構成になっており、大問ごとに求められる力が異なるのが特徴です。
この記事では、実際に出題された過去問をもとに、岐阜大学看護学科(推薦)の小論文の出典・出題形式・解答のポイントを詳しく解説していきます。
- 岐阜大学看護学科(推薦)の小論文の形式がわかる
- 問題1・問題2それぞれの出題内容と出典の特徴がわかる
- 岐阜大学看護学科の小論文で高得点を狙うための対策方法がわか
目次
岐阜大学看護学科(推薦)小論文の出題形式
| 大問数 | 2題(問題1・問題2) |
|---|---|
| 出題形式 | 問題1:課題文型(日本語) 問題2:英文読解型 |
| 設問構成 | 各大問とも小問2〜3問構成 |
岐阜大学看護学科(推薦)小論文の基本構成
問題1・問題2ともに、単純な読解にとどまらず「看護職を目指す者としての考え」を論じさせる設問が必ず含まれているのが特徴です。
課題文・英文をただ理解するだけでなく、そこから看護観・ケア観へとつなげて自分の言葉で論じる力が求められています。
問題1|課題文型小論文の傾向
出典の特徴
問題1では、伊藤亜紗氏の著書(講談社、2020年刊)の一節が課題文として使用されました。伊藤氏は美学・現代アートを専門とする研究者で、「触れる」「さわる」といった身体的なコミュニケーションを切り口に、人と人との関わり方を論じる著作で知られています。
どんな内容?
出題された箇所は、「安心」と「信頼」の違いを論じるくだりです。相手の行動を管理・統制できて不確実性がない状態を「安心」とする一方、相手に主導権を委ねる必要がある社会的な不確実性の中でこそ「信頼」が成立する、という対比構造が軸になっています。裏切られるリスクを引き受けながら相手に委ねることこそが「信頼」であり、それが結果的には関わり合いをより豊かなものにする、という論旨が展開されています。
ここがポイント!
設問では、①「信頼」がどのような状態で成立し、どのような状態では成立しないのかを本文の表現を用いて説明する力、②筆者の考える「信頼」のあり方を踏まえて、看護職を目指す者に求められる姿勢と関連づけて論じる力が問われています。
単に「信頼関係を築くことが大切」という一般論で終わらせず、「管理・統制(安心)」と「委ねること(信頼)」の対比構造を正確に押さえたうえで、看護の現場における患者との関わり方に落とし込めるかどうかが得点を分けるポイントです。
実際の設問(抜粋)
【文章】伊藤亜紗『手の倫理』(講談社、2020年、91-94ページ)一部改変
問1 本文によると、「信頼」とはどのような状態で成立するものであり、どのような状態では成立しないと述べられているか。本文の表現を用いて、200字以内で説明しなさい。
問2 筆者が述べる「信頼」のあり方について、看護職を目指す者に求められる姿勢と関連づけて、あなたの考えを400字以内で述べなさい。
岐阜大学医学部看護学科 学校推薦型選抜 小論文過去問
問題1の解き方のポイント
説明問題は「対比構造」を正確に抜き出す
問1のような要約・説明問題では、課題文の中にある**対比構造(今回であれば「安心」と「信頼」)**を正確に見抜くことが最優先です。
自分の言葉で言い換えすぎると本文の趣旨からずれてしまうため、「本文の表現を用いて」という指示がある場合は、キーワードを本文から適切に拾いながら説明することが重要です。
論述問題は「看護職としての姿勢」に着地させる
問2のように「看護職を目指す者に求められる姿勢」を問う設問では、単なる感想や一般論ではなく、筆者の主張(今回であれば「信頼=主導権を委ねること」)を看護の文脈に翻訳する作業が必要になります。
たとえば「患者を管理・統制する対象として見るのではなく、不確実性を受け入れながら関わる姿勢」など、課題文のロジックを土台にした看護観を示せるかどうかがポイントです。
問題2|英文読解型小論文の傾向
出典の特徴
問題2では、Matthew Wynn氏による英文記事(Japan Today、2024年7月24日掲載)が出題されました。原題は看護とロボット・AI技術との関係を論じるもので、著者は英国の大学で医療・デジタルヘルスを研究する研究者です。
どんな内容?
日本の「超高齢社会」を背景に、介護・看護分野へのロボットやAI技術の導入が進む一方で、看護師という職業のアイデンティティや「ケアとは何か」という問いが揺らいでいる、という現代的なテーマを扱った記事です。
海外の看護学生や現場の看護師がテクノロジー導入に不安や反発を示している事例を紹介しつつ、「ケア」を人間だけのものと限定してよいのか、それともロボット等の技術も含めて再定義すべきなのかを論じる構成になっています。最終的には、人間の思いやりと技術の効率性を統合していくことこそが、これからの看護に求められる方向性であると結論づけられています。
ここがポイント!
設問では、①ケアに関する専門的な定義(下線部)を日本語でわかりやすく説明する力、②ロボットが看護現場にもたらす影響について、本文の内容に即して利点と課題の両面を整理する力、③本文の内容を踏まえて、これからのケアのあり方について自分の考えを述べる力が問われています。
英文読解型ではありますが、**最終的に問われているのは英語力そのものよりも「本文のロジックを正確に理解し、看護の文脈で自分の意見を組み立てられるか」**という点である点は、問題1と共通しています。
実際の設問(抜粋)
【文章】Redefining nursing for the 21st century, Matthew Wynn(Japan Today, 24 July, 2024)
問1 下線部(1)(Nursing as Caring: A Model for Transforming Practice)について、ケアはどのように定義されていますか。わかりやすく日本語で説明しなさい。
問2 ロボットが看護の現場にもたらす影響について、本文の内容に即して利点と課題について150字以内の日本語で説明しなさい。
問3 下線部(2)(約30語)について、本文の内容に即して、これからのケアのあり方についてあなたの考えを400字以内の日本語で述べなさい。
岐阜大学医学部看護学科 学校推薦型選抜 小論文過去問
問題2の解き方のポイント
定義説明問題は「専門用語をそのまま訳さない」
問1のような専門的な定義を説明させる問題では、英文を単語レベルで直訳するのではなく、定義の核となる考え方を日本語として自然に伝わる形に組み立て直すことが求められます。
看護・医療系の英文には専門用語や抽象度の高い概念が登場しやすいため、日頃から医療英文に触れて語彙・言い回しに慣れておくことが有効です。
利点・課題の整理問題は「両面をバランスよく」
問2のように利点と課題の両方を字数内で説明させる問題では、片方に偏らず、本文中で挙げられている要素をバランスよく拾うことが重要です。字数制限が短い場合は、具体例よりも要点の整理を優先しましょう。
意見論述は課題文・英文双方の視点を統合する
問3のような自由度の高い論述問題では、英文の主張(技術と人間性の統合)を踏まえつつ、自分自身の看護観として一貫性のある結論に着地させることが評価されるポイントです。
岐阜大学看護学科の小論文対策
ここまで解説してきた傾向を踏まえると、岐阜大学看護学科(推薦)の小論文で押さえておくべきポイントは次の3つです。
岐阜大学看護学科(推薦)小論文対策で必要なこと
- 「信頼」「ケア」など、看護・医療分野で頻出する抽象的なテーマについて自分なりの考えを普段から言語化しておくこと
- 日本語・英語どちらの課題文にも対応できるよう、医療系の英文にも読み慣れておくこと
- 課題文・英文のロジックを正確に踏まえたうえで、看護職としての視点に着地させる練習を積むこと
問題1・問題2のいずれも、設問の要求を正確に満たしているか、筆者の論理と看護職としての視点がきちんとつながっているかによって評価が大きく変わります。
しかし、こうした点は自分だけで書いていても客観的に判断することが難しく、本文のロジックを正しく捉えられているか」「看護職としての視点として説得力があるか」は、第三者による添削を受けて初めて明確になる部分です。
とくに今回のような、「安心と信頼」「ケアの定義」といった抽象度の高いテーマを扱う課題文・英文では、自己流の解釈のまま書き進めてしまうと、設問の要求からずれた答案になってしまうケースが少なくありません。
小論文の実力を着実に伸ばすためには、過去問演習を重ねると同時に、看護・医療分野の知識を持つ第三者に添削してもらいながら、自分の答案のズレを一つひとつ修正していくプロセスが欠かせません。
さいごに
ここまで、岐阜大学医学部看護学科(学校推薦型選抜)の小論文の出題形式と対策ポイントについて解説してきました。
問題1・問題2のどちらも、課題文・英文の正確な読解力に加えて、看護職を目指す者としての視点を自分の言葉で表現する力が求められる出題です。
過去問演習を通じて出題傾向をつかみつつ、第三者による添削を活用しながら、答案の完成度を高めていきましょう。

安井玲音
看護学部受験専門アイプラスアカデミー 専任講師。 出願書類(志望理由書)添削・小論文・面接指導を専門とし、年間1000本以上の添削を担当。 今年度、担当した全受講生を志望校合格へと導く。 単なる文章の添削ではなく、看護師としての適性を引き出し、採点官に響く「合格答案」の作成を徹底サポート。
【監修】松田 勇一(ディレクター) 朝日新聞グループ運営「マイベストプロ愛知」にて、厳正な審査を通過した教育の専門家。 本記事は、25年以上の大学受験指導キャリアを持つディレクター・松田の監修に基づき、最新の入試データと指導実績を反映して作成されています。
