目次
山梨大学看護学科 推薦入試 小論文対策
今回は山梨大学 総合型選抜入試の小論文対策として、入試過去問の解説と、解き方のポイントを紹介いたします。
また、問題の特徴についても紹介しておりますので、看護学部の入試で小論文がある方は必見の内容となっております。
山梨大学 看護学科
推薦入試 小論文対策
＜出題形式＞
課題文型（1問）＋図表読み取り型（2問）
＜出題内容＞
◎課題文読解＋論述
・「気配りとお節介の境界線」について課題文を踏まえた論述（600字以内）
◎図表読み取り
・図表の分析（100字以内）
・図表を基にした論述（500字以内）
問題の特徴
山梨大学の過去3年間の問題の傾向としては、課題文＋図表読み取りの2題から問題が出題される傾向にあります。
また、扱うテーマに関しては人々の文化や、社会の現状など看護や医療業界とはまた違ったフィールドのテーマが採用されています。
そのため、受験をされる皆さんは、看護医療の知識だけでなく社会問題や人々の生活に関しての知識を持っておくことが問題を解く際に必要な力になります。
解き方のポイント（取り組むにあたって）
この問題を解くうえで必要な力（3点）
課題文を深く読み、相手の気持ちを考える力
小論文I（気くばり）では、筆者の話から「親切」と「おせっかい」のちがいを見つけて、自分なりに「親切とは何か」を説明します。文章の言葉だけでなく、筆者が伝えたい大切な教訓をしっかり理解する力が必要です。
グラフを正しく見て、そこから考えを広げる力
小論文II（読書量）では、グラフの数字（問1）から、なぜそうなっているかという社会の動きや未来への影響を筋道立てて考え（問2）ます。グラフの数字をただ書くだけなく、「事実のまとめ」と「自分の考え」をはっきり分けて書くことが大切です。
字数にぴったり合わせる表現力
小論文全体で、決められた字数（600字、100字、500字）をしっかり守る必要があります。特に100字の問いでは、言いたいことを短く、大事な情報だけを入れてまとめる力が合否を分けます。
課題文型小論文の解き方のポイント
筆者が何に疑問を持っているかを見つける
筆者が文章の初めや例え話で「何について」「何を伝えたいか」を考えて、中心となるテーマをはっきりさせます。
大事な文（キーワード）を見つけてまとめる
文章全体を3つの段落くらいでまとめられるか確認し、自分の意見に使うキーワードに印をつけます。筆者の話は、主張を裏付けるための例として使われていると考えましょう。
自分の意見の「中心」を決める
質問が「あなたが考える○○」を聞いているなら、まずその言葉の自分なりの「意味」を決めます。そして、結論から逆算して、意味→具体的な例→まとめ（結論）の順番で書く流れを作ります。
「反対の意見」を考え、それに応える
自分の考えが成り立つのはどんな時か、逆に成り立たないのはどんな時か（反対意見）を想像し、その反対意見に対してもう一度自分の考えを説明します。これで内容が深まります。
図表読み取り型小論文の解き方のポイント
グラフの「基本情報」をチェックする
誰が（文化庁）、誰に（全国16歳以上）、いつ（令和6年3月）、何を調べたか（年齢と本の冊数）を最初に確かめます。
一番多い・少ない数字と、変わった点を見つける（問1対策）
グラフ全体で、最も割合が高い部分と低い部分はどこか？特に年齢層ごとに普通と違うデータがないかを探します。問1の100字は、見たままの客観的な事実だけを短くまとめます。
「なぜそうなる？」を深く考える（問2対策）
見つけたデータ（例：本を読まない人が6割以上）に対して、「どうしてそうなったのか（原因）」と「これが社会にどんな影響を出すか（結果）」の2つの方向から考えを広げます。
いろいろな面から考えを述べる
学校、仕事、社会の仕組み、個人の気持ちなど、複数の視点で考えます。「読書離れ」であれば、「スマホの影響」や「忙しさ」など、具体的な理由を挙げると説得力が増します。
山梨大学看護学科 推薦入試
小論文 過去問解説
ここでは、2025年度推薦入試で実施された問題の解説を行なっております。
問題に焦点を当てた解説を行なっておりますので、入試対策のご参考になればと思います。
小論文I：気くばりとお節介の境界線 (600字)
問題の概要
筆者の「気くばりがお節介になり疲れてしまう」というエピソードを読み、「気くばり」と「お節介」の境界線を述べた上で、受験者自身の考える「気くばりとは何か」を600字以内で論じる課題です。他者への配慮に関する倫理観や人間関係についての深い考察力が問われます。
解き方のポイント
問いを二つに分解する
課題は「境界線を述べる」と「自分の考える気くばりを定義する」の2つです。600字の中でこの2点を明確に分けて論じる必要があります。
境界線を「相手の視点」で決める
筆者の失敗談（先輩に疲れると言われた）から、境界線は「自分本位の満足」と「相手の真のニーズ」のどちらに基づいているかで引くのが有効です。「気くばり = 相手の意向を尊重し、負担にならない配慮」「お節介 = 相手の意向を無視し、自己満足を押し付ける行為」と定義しましょう。
看護学との関連を持たせる
看護の現場では、患者の自律性を尊重する「アドボカシー（代弁）」や「個別性の尊重」が重要です。この視点を取り入れ、「患者の意思を尊重した上で、一歩引いた支援こそが真の気くばりである」などと論じると、看護学科の受験者として説得力が増します。
文章構成（600字）
【序論】(約100字)：気くばりは重要だが、一線を越えると負担になると問題提起。本稿の目的（境界線と気くばりの定義）を提示。
【本論1】境界線について (約150字)：課題文の事例（先輩の反応）から境界線を分析。「相手の必要性・意図」に基づくのが気くばり、「自分の行動欲求」に基づくのがお節介であると定義。
【本論2】自分の考える気くばり (約250字)：自分の考える気くばりを具体的に定義（例：観察力に基づき、相手の自己決定を尊重した上で行う提案）。具体的な実体験や看護学での応用例に結びつける。
【結論】まとめ (約100字)：看護職として、相手の状況を正確に見極めることが、真の気くばりにつながることを再強調し、締めくくる。
対策ポイント
新聞やコラムを読み、抽象的なテーマに慣れる
「信頼」「共感」「利他」「気くばり」など、抽象的な概念を扱った新聞の社説や専門家のコラムを読み、筆者の定義や意見を要約する練習をしましょう。
「看護の倫理」の言葉で表現する練習
出題テーマを看護の専門的な概念（例：アドボカシー、個別性、倫理綱領）に結びつけて説明できるように準備します。これにより、看護学科への熱意と理解度を示せます。
自分の経験を客観的に見る訓練
日常の「気くばり」や「失敗」のエピソードを書き出し、それが他者にどう受け止められたかを客観的に分析し、言語化する訓練をしましょう。
小論文II：1か月に読む本の冊数 (100字/500字)
問題の概要
文化庁の「国語に関する世論調査」の図表（年齢別・1か月に読む本の冊数）を基に、問1で図表から読み取れる事実を100字以内で記述し、問2でその事実から考えられることを500字以内で論じる課題です。統計データの正確な読解力と社会現象を考察する力が問われます。
解き方のポイント
問1（100字）は「事実」のみを抽出する
問1は「読みとったこと」を問うため、自分の意見や考察を一切入れず、図表の最大の特徴（例：「読まない」が全体の6割を超えることや、年齢層ごとの傾向の違い）を客観的な数字を用いて要約します。
問2（500字）は「なぜ」と「結果」から考える
問1で述べた事実（例：読書離れ）を基に、原因（なぜ本を読まないのか）とその現象が社会や個人に及ぼす影響（結果）を中心に考察を展開します。現代の情報収集の変化（インターネット・動画など）と関連付けて議論すると良いでしょう。
看護・医療の視点を取り入れる
読書量が少ないことが、多角的な思考力や、他者の状況を想像する共感力の低下につながる可能性を指摘し、看護師にはこうした力をつけるための生涯学習が重要である、という視点でまとめると、志望学科との結びつきが強くなります。
文章構成（問2 500字）
【序論】(約100字)：問1で指摘した事実（読書離れなど）を再確認し、考察のテーマとして設定。
【本論1】原因の分析 (約200字)：本を読まない理由を、情報のデジタル化、スマートフォンの普及、忙しさなど複数の視点から分析。
【本論2】社会への影響と考察 (約150字)：読書離れが、社会全体の深い思考力や共感力にどう影響するかを論じる。看護師として、広い知識と多角的な視点を持つことの重要性に言及。
【結論】まとめ (約50字)：データの傾向を踏まえ、現代社会における読書の意義を再確認し、自己の今後の姿勢で締めくくる。
対策ポイント
官公庁の調査データを読み解く
内閣府や文化庁などが発表する「世論調査」や「白書」の図表を定期的に確認し、グラフや表から客観的な事実（数字）を正確に読み取り、100字程度で要約する練習を重ねましょう。
多角的な視点で原因と影響を考える
読み取った事実に対し、「なぜこの現象が起きているのか（原因）」、「これが続くと社会はどうなるのか（影響）」という二つの視点から、500字程度の考察を組み立てる練習をしましょう。
社会的なテーマを看護の視点で見る
少子高齢化、情報格差、地域社会の変化といった社会的なテーマを、常に「それが人々の健康や看護の現場にどう影響するか」という視点で考察する訓練をしましょう。
課題文型・図表読み取り型小論文の対策方法
課題文型小論文の入試対策方法 (4ステップ)
ステップ1: 抽象的なテーマの多角的な理解を深める
「公共性」「倫理」「正義」「科学と社会」など、幅広い分野の抽象的なテーマについて、異なる立場からの主張や論点を日頃からチェックします。テーマに関する知識と多角的な視点を養いましょう。
ステップ2: 課題文の主張と論理の展開を正確に把握する
文章を読む際、「筆者が最も伝えたい核となる主張（メインテーマ）は何か」「その主張を支える根拠や事例はどこか」を識別します。文章全体を要約するだけでなく、筆者の論理展開をトレースする練習をしましょう。
ステップ3: 設問に合わせた論理構成テンプレートを準備する
設問の形式（「説明せよ」「意見を述べよ」「考察せよ」など）ごとに、「序論（問題提起）→ 本論（根拠と具体例）→ 結論（まとめ）」といった文章の型を用意します。意見を述べる際は、反対意見への配慮も加えるなど、多角的な視点を意識しましょう。
ステップ4: 過去問演習を通じて時間配分を最適化する
必ず制限時間（60分〜90分など）を測って過去問に取り組みます。特に「文章読解にかける時間」「構成を考える時間」「実際に記述する時間」を細かく設定し、本番で時間内に論述を完結させるための訓練を徹底しましょう。
図表読み取り型小論文の入試対策 (4ステップ)
ステップ1:図表の「タイトル」「単位」「出典」を確認する
与えられた資料を分析する前に、まず「何についてのデータか（タイトル）」「数値は何を表すか（単位）」を正確に把握します。客観的な事実（数字）だけを抜き出し、自分の解釈を混ぜないように徹底する練習をしましょう。
ステップ2: 特徴を3つの視点から明確に識別する
データ全体を見て、「最大値・最小値（最も極端な値）」「変化率（経年変化や比較対象との差）」「例外・意外性（一般的な予想と異なる値）」の3つの視点から、図表が示す主要な特徴を抽出します。
ステップ3: 事実（What）から考察（Why/How）へと展開する
読み取った事実（What）を基に、「なぜそのような結果になったのか（Why：原因）」や「この事実からどのような対策や社会の変化が必要か（How：提言）」へと論理を広げ、多角的な考察を記述できるようにします。
ステップ4: 過去問演習で時間管理と構成力を磨く
問題の指示（例：「事実を100字、考察を500字」）に従い、過去問を時間内に解く訓練をします。特に、図表分析の時間を短縮し、考察部分の論理構成に十分な時間を割けるよう、過去問を使ったシミュレーションを徹底しましょう。
さいごに
ここまで、記事をご覧いただきありがとうございました。
今回は山梨大学の過去問解説を交えて、小論文対策の方法を紹介いたしました。
ただ、試験問題については年度ごとに変わっていくこともあるため、いろんなパターンの小論文には触れておきましょう。
現在、弊校では小論文のパターン別の対策記事を出しております！
その他のパターンの対策を知りたいという方はぜひ、こちらもご覧ください！
