京都府立医科大学看護学科 学校推薦型選抜 小論文の傾向と対策

松田勇一
監修:松田 勇一アイプラスアカデミーディレクター / 指導歴25年 大手予備校や武田塾等の責任者を歴任後、現在は大学受験専門予備校と看護学部受験専門の予備校を運営。朝日新聞グループ『マイベストプロ愛知』認定の教育のプロとして、毎年多くの受験生を看護学部合格へ導いている。

京都府立医科大学看護学科の推薦入試(学校推薦型選抜)は、小論文①・②の2題構成で行われ、英文読解と現代文読解の両方から出題されるという、一般選抜とは大きく異なる小論文形式が採用されています。

「推薦の小論文は一般選抜と何が違うの?」「英語の長文まで対策しないといけないの?」

そんな疑問をお持ちの受験生・保護者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、公開されている令和8年度の学校推薦型選抜過去問をもとに、出題形式・傾向・解き方のポイントを詳しく解説していきます。

京都府立医科大学の推薦入試を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • 京都府立医科大学看護学科・学校推薦型選抜の小論文の形式がわかる
  • 小論文①(英文読解)・②(現代文読解)それぞれの出題傾向がわかる
  • 解き方のポイントと対策方法がわかる

京都府立医科大学 学校推薦型選抜の小論文の出題形式

項目内容
構成小論文①・小論文②の2題構成
小論文①の形式英文読解型(英語の課題文+設問)
小論文②の形式課題文型(日本語の課題文+設問)
解答方法記述式(字数指定問題あり)

京都府立医科大学 学校推薦型選抜の小論文の基本構成(令和8年度過去問より)

同じ「京都府立医科大学看護学科」でも、一般選抜の小論文が現代文の課題文型小論文1本であるのに対し、学校推薦型選抜では英文読解が独立した大問として出題される点が最大の違いです。

英語の長文を正確に読み取る力と、日本語の評論文を読んで自分の考えを論じる力の両方が同時に問われる形式になっているため、対策の範囲が広くなる点に注意が必要です。

小論文①(英文読解)の出題傾向

出典と内容

令和8年度の小論文①では、The Guardian(英ガーディアン紙)に2025年5月に掲載された、ケニアのムクドリ(starling)の協力行動に関する科学記事が出典として使われました。

◎どんな内容?

長年にわたる行動観察とDNA分析の結果、ムクドリは血縁関係のある個体だけでなく、血縁関係のない個体とも「今年助けてもらったら、来年は自分が助ける」という互恵的な関係を長期にわたって築いていることが明らかになった、という内容です。研究者はこうした関係を人間の「友情」になぞらえて説明しており、動物の利他的行動(altruism)について論じた自然科学系の英文です。

◎ここがポイント!

看護・医療系の英文というよりは、生物学・動物行動学の一般向け科学記事が出典になっている点が特徴です。医療系のテーマに限定せず、幅広い分野の英文読解力が問われていることがわかります。

設問構成

令和8年度の設問は、大きく分けて以下の6問で構成されていました。

設問内容
問1本文の内容一致選択(4問、4択)
問2下線部の言い換え選択(2箇所)
問3空欄補充(接続表現を選択)
問4空欄補充(本文中の単語を抜き出し)
問5語句の並べ替え(英作文、2箇所)
問6下線部(altruism)について、研究で明らかになったことを100字以内の日本語で説明

小論文①の設問構成(令和8年度過去問より)

◎ここがポイント!

内容一致・言い換え・空欄補充・並べ替えというオーソドックスな大学入試英語の総合問題形式でありながら、最後の問6だけが「日本語で100字以内にまとめる」記述式になっている点が特徴的です。英文を正確に読解する力と、それを日本語で簡潔に要約し直す力の両方が求められています。

小論文②(現代文・課題文型)の出題傾向

出典と内容

小論文②では、村上靖彦氏の著書『ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと』(中公新書、2021年)の冒頭部分が課題文として使われました。

◎どんな内容?

病気や老い、死といった人間の弱さを避けることはできず、私たちは苦境に立たされたときに「一人では生きていけない」と痛感する、という前提のもとで、ケアとは相手の生を肯定し、支える営みであるという考え方が述べられた文章です。ケアを受ける人・医療従事者・ソーシャルワーカーへの聞き取りをもとに、対人支援の本質を問い直す内容になっています。

◎ここがポイント!

「ケアとは何か」という、看護職を目指す受験生にとって根幹となる問いをそのまま扱った文章です。看護系の推薦入試らしい、職業観・人間観に直結するテーマが選ばれています。

設問構成

設問内容
問1下線部「もうひとつの理由」について、対になる「ひとつめの理由」を本文の内容を踏まえ100字以内で説明
問2空欄に入る適切な語句を、本文の内容を踏まえて考えて記述
問3下線部「ケアとは生きることを肯定する営みだ。」という言葉について、看護職を目指す立場からの考えを500字程度で論述

小論文②の設問構成(令和8年度過去問より)

◎ここがポイント!

問1・問2が本文の正確な読解を問う内容説明型であるのに対し、問3は看護職を目指すあなたの考えという形で意見論述が求められています。この「看護職を目指す立場から」という文言は、他の看護系大学の小論文にも共通する定番の問いかけ方であり、単なる感想ではなく将来看護師として現場でどう向き合うかという視点が採点上重視されます。

小論文①・②の解き方のポイント

小論文①(英文読解)を解くうえでのポイント

設問を先に確認してから本文を読む

内容一致問題(問1)は選択肢が本文の言い換えになっていることが多いため、先に選択肢に目を通しておくことで、本文のどこに注目すべきかが見えやすくなります。

下線部・空欄の前後2〜3文に根拠を探す

問2の言い換え問題や問3・問4の空欄補充は、下線部・空欄そのものだけでなく、前後の文脈に必ずヒントがあります。特に因果関係を示す接続表現(however, in fact, therefore など)は文章全体の論理展開を掴む手がかりになります。

問6の日本語要約は「具体的な研究結果」を落とさない

問6のように英文の内容を日本語でまとめる設問では、抽象的な一般論ではなく、本文中に書かれている具体的な調査結果や事実を盛り込むことが重要です。「〜ということがわかった」という結論だけでなく、その根拠となったデータや観察結果に触れることで、100字という制限字数の中でも説得力のある要約になります。

小論文②(現代文)を解くうえでのポイント

問1・問2は本文の言葉を手がかりに、自分の言葉で整理する

理由説明問題では、本文中に「ひとつの理由」「もうひとつの理由」のように対になる表現がある場合、片方が見つかればもう片方も本文中の対応箇所から探せることが多いです。本文の言い回しをそのまま抜き出すのではなく、自分の言葉で簡潔に言い換えて100字にまとめましょう。

問3の意見論述は「序論・本論・結論」の型で書く

500字程度の論述では、以下のような構成を意識すると説得力のある文章になります。

構成字数目安内容
序論100字程度課題文の主張を踏まえた自分の立場を明示
本論300字程度具体例(実習・ボランティア・身近な体験など)を交えて論じる
結論100字程度看護職を目指す者としての決意・展望を示す

「ケアとは生きることを肯定する営みだ」を自分の経験に引きつける

抽象的なテーマだからこそ、具体的な場面(高齢者との関わり、家族の介護経験、実習やボランティアでの体験など)と結びつけて論じることで、他の受験生と差がつきやすくなります。抽象論だけで終わらせず、「だから看護師として自分は〜したい」という一文で締めくくることを意識しましょう。

京都府立医科大学看護学科・学校推薦型選抜の小論文対策

ここまでの傾向を踏まえると、対策として重要なのは次の3点です。

京都府立医科大学の学校推薦型選抜・小論文対策で必要なこと

  • 看護・医療系に限らない幅広いテーマの英文に慣れておくこと
  • 「ケア」「対人支援」といった看護の根幹に関わるテーマへの理解を深めておくこと
  • 過去問演習と第三者による添削を組み合わせること

看護・医療系以外の英文にも慣れておく

小論文①で出題された英文は、看護・医療に直結するテーマではなく生物学・動物行動学の科学記事でした。医療系の英単語や話題だけを対策するのではなく、大学入試レベルの評論・科学系英文全般に日頃から触れておくことが有効です。

「ケア」「対人支援」の本質を扱った書籍に触れておく

小論文②のように、「ケアとは何か」という看護職の根幹に関わるテーマは、他大学の看護系小論文でも頻出です。村上靖彦氏をはじめ、ケアや対人支援の本質を論じた新書・専門書に日頃から触れておくことで、抽象的なテーマにも自分の言葉で向き合いやすくなります。

過去問演習+第三者の添削で仕上げる

ここまで京都府立医科大学看護学科・学校推薦型選抜の小論文対策を紹介してきましたが、過去問演習だけでは不十分です。小論文は自分自身では客観的に評価することが難しい科目だからです。

  • 論理展開に矛盾はないか
  • 看護職を目指す視点として適切な内容になっているか
  • 制限字数に対して過不足のない内容になっているか

こうした点は、看護・医療についての知識がある第三者に添削してもらうことで初めて見えてきます。

学校の先生、予備校の講師、看護系に詳しい指導者など、第三者の目を通して内容面の添削を受けることが、学校推薦型選抜の小論文攻略には欠かせません。

小論文は、しっかりと対策をすれば得点源にできる科目です。過去問演習と第三者の添削を組み合わせて、本番までに万全の状態を整えていきましょう。

この記事を書いた人

安井玲音

看護学部受験専門アイプラスアカデミー 専任講師。 出願書類(志望理由書)添削・小論文・面接指導を専門とし、年間1000本以上の添削を担当。 今年度、担当した全受講生を志望校合格へと導く。 単なる文章の添削ではなく、看護師としての適性を引き出し、採点官に響く「合格答案」の作成を徹底サポート。

【監修】松田 勇一(ディレクター) 朝日新聞グループ運営「マイベストプロ愛知」にて、厳正な審査を通過した教育の専門家。 本記事は、25年以上の大学受験指導キャリアを持つディレクター・松田の監修に基づき、最新の入試データと指導実績を反映して作成されています。